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賃金ピーク制導入しても青年の雇用は増えない

登録:2015-05-28 07:26 修正:2015-05-28 10:57
専門家ら韓国政府の主張を批判

 雇用労働部が労働界が反発する賃金ピーク制の導入を押し切ろうとする名分は「青年失業の解消」だ。60歳定年延長で企業の人件費負担が増えれば、青年新規採用を敬遠するため、賃金ピーク制で負担を低くしようという論理だ。雇用部は賃金ピーク制を導入した事業場の新規採用者中の青年(30歳未満)の比率(50.6%)が、賃金ピーク制を導入しなかった事業場(43.9%)より高かったことを根拠として提示する。

 しかし労働の専門家たちは、賃金ピーク制による企業の人件費負担削減が、必ずしも青年雇用の拡大につながらないと批判する。キム・ユソン韓国労働研究所首席研究委員は「雇用部が出した根拠によれば、300人以上の企業の新規採用者中、青年比率は賃金ピーク制導入(56.6%)と未導入(48.8%)企業間に差があるが、100~299人の事業場では賃金ピーク制導入(37.2%)と未導入(37.5%)企業間に差がない」と明らかにした。また「300人以上の企業の青年新規採用比率の差が、賃金ピーク制導入による人件費負担軽減のためなのか、企業間の財政的余力の差のためなのか、具体的分析が抜けている」と指摘し、「賃金ピーク制は高齢労働者の賃金を削るだけであり、青年を雇用する新たな仕事を作るものではない」と批判した。

2014年の事業場規模別の賃金ピーク制導入現況 //ハンギョレ新聞社

 ユ・ジョンヨプ韓国労総政策本部室長も「グローバル金融危機の時、既存労働者の賃金を凍結して初任給を削減したが、新規採用が大きく増えることはなかった」と述べ、「労働時間を減らしてできた仕事に青年を雇用する労働時間ピーク制のほうがより現実的」と主張した。

 また韓国の正社員の平均勤続期間は7年1カ月に過ぎず、賃金ピーク制の実効性がないとの指摘もある。キム・ソンヒ高麗大労働大学院研究教授は「整理解雇、希望・名誉退職などで定年まで仕事ができる労働者が多くない状況で賃金ピーク制を導入しても、企業の費用は大幅に減ることはない」とした上で、「企業は構造調整で人材を着実に縮小してきたが、それだけ青年の新規採用が増えることはなかった」と指摘した。

キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-27 21:38

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/693176.html 訳Y.B

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