自動車・鉄鋼で韓国の価格競争力は弱化
大企業より中小企業が苦戦
日本人観光客は1年間に18%急減
「90年代より衝撃は制限的」分析も
電子情報・繊維は「影響ほとんどない」
23日、ソウル外国為替市場と国際金融市場でウォン・円為替レートが100円当り903.04ウォン(外換銀行告示基準)を記録した。 取引中に一時902ウォンまで下がり、2008年2月以来7年ぶりに900ウォン台崩壊を目前にしている。 円安は量的緩和を軸とするアベノミクス以後続いているが、「900ウォン台崩壊秒読み」は円安の深化が韓国経済に及ぼす影響がますます深く広がっていることを実感させる。
ウォン・円為替レートは2008年2月に880.62ウォンまで下がったが、同年9月に1000ウォンを突破した後、翌年の2月には1558ウォンまで急騰し頂点を打った。突然円安になったのは日本政府がアベノミクスを前面に掲げ金融緩和に出始めた2012年末からだ。ウォン・円為替レートは2013年9月に1000ウォン台に落ち、昨年6月には900ウォン台へ下落した。
韓国ウォンと日本円は韓国の外国為替市場では直接取り引きされない。ドル貨を中間媒介として通貨価値を比較する“財政為替レート”で相対価値を付ける。最近、日本円に対する韓国ウォンの価値が急上昇したのは、ドルに対する日本円の価値が下がる速度がドルに対する韓国ウォンの速度より速いためだ。
円安は輸出部門はもちろん、日本製品輸入部門、ひいては流通・観光領域まで韓国経済に全方向で影響を及ぼす。 自動車・鉄鋼など日本企業と輸出競合度が高い産業は、世界市場で日本企業に比べて価格競争力が弱まることになる。 円安の流れに乗って価格競争力を回復したトヨタは、米国市場で攻撃的マーケティングを繰り広げ、今年1分期に米国内販売量を昨年対比で10.5%も増やした。 現代経済研究院は今年のウォン・円為替レートが平均900ウォンとなり昨年平均(996ウォン)より下がる場合、国内総輸出が8.8%縮小すると推定した。
大企業は海外生産の拡大などで円安リスクへの対処能力をある程度備えているが、輸出中小企業は苦戦する状況に陥っている。 輸出入銀行の輸出企業アンケート調査によれば、最近のウォン・円為替レート変動にともなう中小企業の輸出額は5.6%減少し、大企業(-1.8%)より状況がさらに悪かった。 中小企業界がマジノ線と捉えているウォン・円為替レートの損益分岐点は、100円当り1014ウォン(中小企業中央会)だ。その一方では日本製工作機械などを輸入する一部の内需企業は、円安による“反射利益”を得ている面もある。
円安ショックの破壊力と様相は90年代に比べればかなり制限的だという分析も出ている。 日本企業と製品競争力で大きな格差をつけてきたスマートフォン、テレビ、ノートブックなどの電子・情報通信業界や繊維業界では円安の影響は制限的だということだ。 繊維企業であるコーロンは「主要取引先が米国・ヨーロッパであり、日本円の変動による影響が殆どないばかりか、この頃は日本と競合する製品も多くない」と話した。
円安は観光・流通産業にも逆調を招く。日本政府観光局の集計によれば、今年に入って3月までに日本を訪れた韓国人観光客は94万7900人で昨年同期に比べて39.6%増加した。その反面、韓国観光公社が集計した1~3月訪韓日本人観光客は50万1151人で前年同期に比べて17.7%減少した。 日本円価値の下落で購買力が減少した日本人観光客の離脱が加速化し、相対的に財布が厚くなった韓国人の日本訪問は増加しているわけだ。韓国を訪れる遊客(中国人観光客)が日本に行き先を変更する可能性も考えられる。