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スーパードルの威力で日欧の後塵を拝す現代自動車

登録:2015-03-17 10:15 修正:2015-03-17 12:29
北米市場で収益性・占有率が同時に下落
京畿道平沢港で輸出のための船積みを待つ現代・起亜車の完成車。資料写真 //ハンギョレ新聞社

 金融危機直後から小型車の強みを生かし
 世界10位圏からトップ5に浮上したが
 最近の円・ユーロ安の中で販売萎縮
 世界での生産・販売は800万台に達し
 今後は成長より収益性に重点置くべき

 現代自動車が米国の景気回復と、これを反映する“スーパードル”(ドル強勢とウォン劣勢の中で韓国輸出競争力強化)の流れに乗れないまま、北米市場で収益性と占有率双方で苦戦している。米国の自動車消費市場が復活しているのに、円安とユーロ切り下げで攻勢をかける日本車とヨーロッパ車、金融危機後の景気回復傾向に乗って再び打って出た米国車に包囲されている状況にある。

現代自動車米国市場占有率の推移 //ハンギョレ新聞社

 現代車の北米市場占有率が明らかに上昇し始めたのは、逆説的にも2008年の金融危機直後からだ。経済危機に原油高が重なり、米国の消費者の間で燃費の良い小型車が強みの現代車を選ぶ傾向が強まった。これに伴い、現代車の米国での販売量は2007年46万台(占有率2.9%)、2008年40万台(3.3%)から、危機直後の2009年に43万5千台(4.2%)と大きく増えた。このため2000年代初め世界10位圏に留まった現代車は、2009年に一躍世界トップ5に駆け上る。2010年には53万8千台(4.6%)にさらに増え、2011年には64万5千台(5.1%)とピークに達した。米国車、日本車、ヨーロッパ車の販売量が大きく落ち込む中、現代車だけが米国市場で成長した。

 為替レート要因の他にも現代車の北米市場占有率が増えた背景には、GM破産危機といった米国地元企業の劣勢、東日本大震災にともなう研究開発投資縮小と大規模リコール事態でトヨタや日産が萎縮した影響もある。現代車幹部は「運が良かった面もある」と打ち明ける。

現代自動車営業利益率の推移 //ハンギョレ新聞社

 しかし大々的なドルの量的緩和で米国景気が回復し始め、連邦基準金利引き上げ展望の中でスーパードル(円・ユーロ劣勢)が可視化し、状況は一変した。現代車の米国市場販売量は2012年に70万3千台に増えたが、占有率は4.9%に減った。その後の販売量は72万台(占有率4.6%・2013年)、72万5千台(4.4%・2014年)でますます停滞していき、占有率は下落傾向に反転した。今年1~2月販売量は9万7千台(4.0%)だった。

 反面、日産とトヨタは超円安を基に昨年の販売量が前年比でそれぞれ11%と6%成長した。米国市場好調の波に乗ってトヨタは2014年(2013年4月~2014年3月)の世界での販売量1013万台を記録した。金融危機ショック当時1~2%だった営業利益率も、2013年6%、2014年8.9%へと増え、以前の水準を回復した。米国の景気復活と原油価格の下落現象が重なる局面で、円・ユーロの量的緩和にともなう自国通貨価値切り下げにより、日本車とヨーロッパ車が安い価格を背景に凄まじい勢いで突進している状況だ。GMやフォードなど米国車も原油価格下落の中でスポーツ実用車と中大型ピックアップ・トラックを中心に自動車需要を急増させている。

 現代車の売上額に比べた営業利益率(国内外合計)の指標も、スーパードルが本格化した2013年頃から悪化している。営業利益率は2011年の10.3%、2012年の10%と2年連続2桁に達した。しかし2013年には9.5%、昨年は8.5%と下落傾向に流れが変わった。実際、ここ数年間に現代車が北米市場で謳歌した「良き時代」は異例といえる。現代車幹部は「現代・起亜車で世界の生産・販売800万台に到達したが、それがピークのようだ。ある程度限界に達した感じが強くなっている。低成長を受け入れ収益性を確保するのが課題として台頭している」と語る。

 現代車が成長を象徴するかのように北米市場で繰り広げた“適正価格”(中間販売ディーラーのインセンティブを減らし現代車本社収益性を増やした政策)も戦略の転換が避けられない状況に追い詰められている。インセンティブを減らしても販売が増えた現代車の北米市場での過信はもう昔話だ。超円安とユーロ劣勢を踏み台にして日本車とヨーロッパ車が攻勢に出てきており、現代車は収益性が下落してでも占有率を防御するためにインセンティブを再び増やさなければならない状況にある。 現代車側も「適正価格を出させる政策は限界に直面した状況に来ている」と語る。米国の自動車市場は回復して正常に戻ったが、現代車はスーパードルの中で逆に苦戦する事態に陥っているわけだ。

 現代車の位置づけが急変している事態は、現代車が追求してきた現地生産戦略がブーメランとして作用するという分析も出てくる。現代車は米国現地工場での生産・販売が増加してドル強勢恩恵から排除される反面、海外への工場進出に積極的でなかったトヨタは円劣勢の翼をつけ“通貨価値の恩恵”をまともに受けている。

チョ・ケワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.16 22:05

https://www.hani.co.kr/arti/economy/car/682476.html 訳Y.B

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