「どうすればいいでしょうか?」。サムスン関係者が心配気に尋ねる。他でもないサムスンSDSの上場差益問題に対する解決方法を模索している。
イ・ゴンヒ サムスン会長の息子であるイ・ジェヨン サムスン電子副会長と彼の妹たちが持つSDS株式(持分19%)の市場価値は5兆8673億ウォン(20日終値基準、1ウォンは約0.1円)に及ぶ。兄と妹は1999年にこれらの株式を一株当り7千ウォン台の安値で買った。当初の購入価額に較べて300倍近い収益を上げたことになり、国民の公憤を買っている。野党の一角では不当利得還収のための特別法制定を主張している。
サムスンは「上場差益がこれほど大きくなるとは思わなかった」と抗弁する。また、株式安値買い取りに対する司法判断と責任履行はすでに終わっていると話す。司法府は2010年、サムスン特検裁判でSDS株式の安値発行に対して有罪判決(背任)を下し、イ・ゴンヒ会長らは会社の損失200余億ウォンを賠償した。これに先立ち国税庁には約400億ウォンの贈与税を払い、2006年には不法・便法相続に関して国民に謝罪し8千億ウォンを社会還元した。
だが、サムスンの弁解は素直でない。上場差益がどれくらいになるかは正確に分からないとはいえ、株式安値発行の究極的な目的は莫大な上場差益にあったからだ。 この間、サムスンはそのために系列会社への仕事集めを通じてSDSの株式価値を持続的に高めてきた。 上場時点もイ副会長が経営継承のための元手が必要な時点に合わされた。
2O10年のイ・ゴンヒ会長の賠償や2006年の社会献納も十分ではないという指摘が多い。 兄と妹がSDS株式を7千ウォン水準で購入した当時、店頭株市場価格は5万ウォンを超えていた。 だが、裁判所は株式価値を1万5千ウォンと見て、会社損失を縮小計算した。 また、サムスンが献納した8千億ウォンのうち半分の4千億ウォンはイ・ゴンヒ奨学財団にすでに出捐されていた資金の名札だけを変えたものだ。 イ・ジェヨン副会長の負担額は700億ウォンに過ぎなかった。来月、第一毛織の上場がなされれば兄と妹の上場差益総額は少なくとも8兆ウォンに増える。社会献納額は10分の1に過ぎなかったわけだ。 キム・サンジョ経済改革連帯所長は「米国だったら8兆ウォンの上場差益を全額吐き出さなければならない」と話す。
それでは上場差益論議の解決法は何だろうか? サムスン特別法は事件に対する司法的判断がすでに一段落しているという点で限界がある。 国民の公憤がいくら大きくとも、サムスンが受け入れ可能な合理的要求をする必要がある。イ・ジェヨン副会長も論議の終息を望むならば、じっと手を後ろに組んでいてはならない。 自ら原初的責任を謙虚に認めて、社会の希望を最大限に受け入れようとする結者解之(自分がしたことは自分が解決しなければならない)の姿勢が必要だ。そうでなければ、今回仮に上手く刃を避けたとしても、今後の第一毛織上場、SDS株式処分、持株会社への転換を含む企業支配構造の改編など節目の度に論議が再燃する可能性が高い。
SDSの上場で莫大な差益を得ることになったイ・ハクス元副会長とキム・インジュ社長も決断を迫られる。 これらの人々は当時サムスン構造調整本部の最高責任者として株式安値発行を主導した。二人が保有するSDS株式の価値は1兆7千億ウォンを超える。 財界ではこの株式がイ・ゴンヒ会長の借名株式であり、イ会長が数年前から返還を要求したが拒否されたという話が聞こえている。 だが、常識的に考えれば二人の株式買い入れはイ会長の指示に従ったもので、莫大な上場差益も結局は不労所得ではないのか? サムスンも韓国経済もみな苦しい状況にある。 株式安値購入論議を引きずって行くことは誰にとっても得にならない。 特にサムスン3世経営を始めなければならないイ・ジェヨン副会長にとってはなおさらだ。