先月20日、朴槿恵(パク・クネ)大統領が主宰した「第1次規制改革長官会議及び官民合同規制改革点検会議」は7時間に及ぶ会議の全過程がメディアに公開され、全国に生中継された。同日の会議で集中照明を受けた規制政策は、チューニング規制の緩和とフードトラックの許容、公認認証書廃止、ビュッフェ営業距離制限など、中小商工人や一般国民の肌に感じられるものが多かった。注目された出席者たちも豚カルビ食堂の主人、資本金5億ウォンの会社代表、年間売上額7億ウォンのベンチャー会社社長など、中小企業家、ベンチャー企業家、自営業者などだった。イ・スンチョル全国経済人連合会副会長など財界関係者も出席したが、それほど目につかなかった。
「7時間の討論生中継は政務的判断」
政府高位関係者“広報性”認める
朴大統領“貿易投資会議”直接主宰
持株会社の規制緩和など問題事案を扱う
韓国政府は同日の会議を契機に“規制緩和”に対する国民の共感が広がったと評価している。ヒョン・オソク副首相兼企画財政部長官は4月1日、「規制改革に対する一般の認識が大きく変わった。このような雰囲気を通して、利害当事者を説得しなければならない」と述べた。 企画財政部(企財部)のある関係者は「副首相の発言は、20日の会議が成功裡に終わったという政府内の評価に基づいている」と述べた。規制緩和推進にぐっと自信がついた模様だ。
中小企業などが浮き彫りにされた同日の会議内容は、政府内で実際に推進されている規制緩和政策の一部に過ぎない。ある政府省庁の高位関係者は2日<ハンギョレ>との通話で「20日の生中継討論が中小商工人を中心に行なわれたのは、政府の“政務的判断”があったから」と述べた。彼は「我々は規制改革政策において、大企業と中小企業を区分してアプローチしてはいない」と述べた。大企業より中小商工人を浮き彫りにする方が、国民の規制緩和に対する拒否感を減らすのに効果的だと判断したという意味だ。企財部のある関係者は「生中継会議の出席者は大統領府が選んだ。大企業は他のチャンネルを通して、いくらでも意見を開陳できる」と述べた。
大企業が意見を“いくらでも”開陳できる通路とはどこだろうか? 朴大統領は昨年5月から今年2月まで5回にわたって開かれた貿易投資振興会議(以下「投資会議」)を直接主宰した。投資会議は先月の生中継会議のように“トラブルシューティング”(Trouble-shooting・企業人がネックを訴えれば政府が代案を出す方式)方式で行われる。主な議題も「投資活性化のための規制緩和」という点で生中継会議と似ている。しかし会議の全過程が公開されないため、会議で交わされた具体的な発言内容は知ることができないという点、大企業の“苦情”が集中的に提起されるという点で、大きな違いがある。
実際、投資会議の結果として発表された対策には、特定大企業の苦情を聞き入れて“特恵”問題が起こったり、“公共性侵害”問題を呼び起こした事案が少なくない。
代表的な例が「持株会社の規制緩和」(外国人投資促進法改正)だ。政府は第1次投資会議(昨年5月1日)で提起されたこの事案を、予算案遅刻処理(訳注:翌年の予算案可決が年を越して処理されること)まで甘受して昨年年末の定期国会で貫徹させることに成功した。これによる恩恵はSK及びGSの二つのグループが100%享受することになるという点で“特恵”論議が起こった。財閥規制の根幹の一つである持株会社制度を毀損させたという批判もあった。産業団地内の熱併給発電所(関連企業OCI)の設置や公共機関の敷地内の工場建設(Sオイル)、学校周辺の観光ホテル許可(大韓航空)など特定企業の苦情処理型プロジェクトが現在20余り進行中である。
労働・医療・教育・環境など公共性関連の規制も緩和対象だ。三星(サムスン)病院・現代峨山(ヒョンデアサン)病院など財閥グループが運営する大型病院の利害関係の絡む医療法人子会社の営利附帯事業拡大と、労働市場全般に波及しかねない55歳以上労働者対象の派遣労働使用拡大のような規制緩和が代表的だ。前者は営利病院を迂回的に許容することにより、医療の公共性を害する恐れがあるという批判を、後者は最悪の雇用とされる派遣職を社会的弱者である高齢者から許可して“堰”を切ったという批判を受けている。
グローバル政治経済研究所のオ・ゴノ研究室長は「20日の会議で、国民の目に象徴的に映る可能性のあるいくつかの規制を掲げたのは、実際に自分たちが推進せんとする中核的な規制緩和部分を希釈しようとする意図だったと見る」と述べた。パク・サンイン ソウル大行政大学院教授は「現政権と、“企業フレンドリー”(親企業)を露骨に語った李明博(イ・ミョンバク)政府との違いが薄れつつある」と述べた。
キム・ギョンナク記者 sp96@hani.co.kr