財界が22日、財閥総師の専横を牽制するための商法改正に対して集団で反発に乗り出したことは、最近主な財閥総師が背任、横領、脱税などの容疑で相次ぎ拘束ないし実刑宣告を受けている現実に照らしてみる時、名分が弱いという指摘が多い。 また、朴槿恵(パク・クネ)政府が‘経済興し’を名分に商法改正案の緩和を推進することは、経済民主化が企業の投資活動を阻害するという財閥の論理に事実上屈服することであり、朴大統領が経済民主化の一環として商法改正を大統領選挙公約と国政課題で約束したことを自ら否定する姿に映る。
全国経済人連合会など19ヶの経済団体が商法改正案に反対する論拠は3点だ。 先ず、企業に画一的な支配構造を強要するもので、グローバル競争力を失墜させかねないということだ。 また、外国系ファンドや競争企業によって経営権が脅威を受ける恐れがあると主張している。 パク・チャンホ全経連専務は「世界中どこの国も商法改正案のように特定の支配構造を強要してはいない。 今のようなグローバル経済戦争時代に国内企業の手足を縛り、海外有数の企業らと競争しろということは、当該企業の競争力はもちろん国家経済にも深刻な影響を与えかねない」と主張した。 全経連は特に理事会の監査委員を務める理事を、他の理事と分離し選出して、大株主の議決権を最大3%まで許容する方案を憂慮している。 パク専務は「経営陣の選任にあって、大株主の影響力は大幅に減り、2~4人の大株主が経営権を掌握したり会社経営に甚大な影響力を行使しかねない」とし、過去に外国系のソブリンとカール・アイカーンがSKとKT&Gの経営権に干渉した事例を挙論した。
だが、財界のこのような主張は相当部分が歪曲・誇張されたものだ。 我が国に投資している外国系ファンドは、経営権を狙う代わりに株式投資での配当利益や相場差益を得ようと考えるミューチュアル ファンドが大部分だ。 また、国内上位43ヶの財閥の場合、総帥一家と系列会社を合わせた内部持分比率が平均54.8%に達しており、外部の敵対的買収目標になる可能性は希薄だ。 経済改革研究所チェ・イベ研究委員は「大企業の場合、機関投資家が独立的理事1人を選任することも容易ではないのに、一般株主に経営参加の道を開こうとする試みさえ経営権威嚇だと主張するのは行き過ぎ」と批判した。 財閥が商法改正案に反対するのは結局、財閥総師に牽制を受けない絶対的経営権を保障して欲しいという要求であるわけだ。
商法改正案の趣旨は、大株主と経営陣の専横を牽制し、少数株主を保護することだ。 最近、財界3位のSKグループのチェ・テウォン会長、10位の韓火(ハンファ)グループのキム・スンヨン会長、14位のCJグループのイ・ジェヒョン会長など財閥総師らが不法行為の容疑で相次いで拘束されたり1・2審で実刑宣告を受けた。 財閥総師が数千億ウォン規模の背任、横領、脱税を犯していながら、会社の最高意志決定機構である理事会が何の牽制機能も発揮できず‘挙手機(イエスマン)’に転落したのは独立性がないためだ。 全経連もこのような商法改正案の趣旨には共感すると話す。 だが、全経連が何らの代案も提示せずに商法改正案の内容に全て反対する姿を見る時、真正性が弱く見える。
総帥が不法行為で拘束されたり有罪判決を受けたSK、ハンファ、CJなどは全て全経連の会員会社だ。 また、チェ・テウォンSK会長とキム・スンヨン ハンファ会長は全経連会長団の一員でもある。 全経連は今日までこれらの事件に対して国民に謝るなり、不法行為をした会員会社を制裁したことはただ一度もない。 4大グループのある高位役員は「全経連が今年初め、国民の信頼を受ける機関として新たに出なおすと約束したのに…」として言葉を濁した。
朴槿恵(パク・クネ)政府が経済興しを前面に掲げて商法改正案緩和の動きを見せているのは、大統領選挙公約と国政課題約束の破棄と見られても仕方がない。 経済民主化を主管するノ・デレ公取委員長が最近「経済民主化と経済興しは互いに相反しない」という立場を一貫して明らかにしたこととも矛盾する。 商法改正案の修正議論に参加している経済部署のある高位幹部は「経済興しの主張も無視できないが、商法改正案緩和がややもすれば経済民主化の後退と国政課題破棄として見られた場合、朴槿恵大統領の‘信頼政治’にとっても負担となる憂慮がある」と話した。 経済改革連帯は「商法改正案を含む経済民主化法案がまともに用意されてこそ、公正な市場経済秩序が確立され財閥の反則経営が正され、中小企業と零細自営業者も生きるなど、真の経済興しが可能だ」と話した。
クァク・ジョンス先任記者 jskwak@hani.co.kr