営業利益の中でITモバイルが70%
過度なスマートフォン集中 憂慮
主要系列会社も部品収益が多く
売上が減少すればグループ全体がフラフラ
"新しい成長動力発掘に投資を集中"
"電子産業は激変期を迎えるなど今まで経験したことのない急激な変化がすでに始まった。 現在の成果に安住して未来競争力を準備できなければ一瞬にして没落するだろう。"
三星(サムスン)電子創立43周年をむかえた1日、クォン・オヒョン代表理事(副会長・写真)はソウル瑞草(ソチョ)社屋で開かれた記念式で‘没落’という表現まで使って‘危機’を強調した。 ‘危機の三星’は今に始まったことではない。 2010年3月イ・ゴンヒ会長が三星秘密資金特検以来2年ぶりに経営に電撃復帰して最初の一声も "危機" であった。 "危機だ。10年以内に三星を代表する事業と製品の大部分が無くなるだろう。"
三星で総帥をはじめとしてグループ首脳部が危機を強調し、組織を引き締める流れは継続してきたが、最近は通常の時と多少違う。 三星電子がスマートフォン世界1位を占め、史上最高実績を相次ぎ更新している。 三星電子は3分期末時点で現金だけで30兆3400億ウォンを保有している。 2010年以後から20兆ウォン台を維持してきたが初めて30兆ウォンを超したのだ。
それこそ最高の好況なのに、三星の危機経営はなぜ一層強化されているのだろうか?
最も直接的には世界経済の沈滞のせいだ。 海外売上が全体の80%を超える三星電子にとって、ヨーロッパ・米国などの消費萎縮は直接的打撃だ。
三星電子の‘孝行息子’であるスマートフォンが、逆説的に危機の核心でもある。 第3四半期の売上全体の半分をスマートフォンを作る無線事業部で上げた。 また、無線事業部を含むITモバイルコミュニケーション(IM)部門の営業利益は全体の70%水準に達する。 三星電子だけではない。 三星ディスプレイ、三星SDI、第一毛織なども三星スマートフォンの部品・材料供給で得ている収益が相当部分を占めている。 景気低迷で三星スマートフォンが萎縮すれば、グループ全体がさまようことになる不均衡な構造だ。
スマートフォン市場の成熟が頂点に達したことも危機要因だ。 三星のギャラクシーシリーズはグーグルのOSアンドロイドが採択されており、ハードウェアやデザインを除けば他の競争企業等との差別性が殆どない。 ギャラクシーノートなどの大きな画面もアップルをはじめとするその他企業等が皆追随している。
米国の経済紙<ウォールストリートジャーナル>のコラムニスト アーロン ペックは最近‘三星電子の成功、最悪の弱点になり得る’という文で「ギャラクシーシリーズの成功が印象的だが、三星のスマートフォン事業が少数の製品に依存していて、競争会社にモメンタムを奪われれば途方もない衝撃になり得る。 デジタル機器の流行はあっという間に過ぎ去る。 昨年莫大な売上を記録した台湾のスマートフォン業者HTCは今年苦戦をまぬがれなくなっている」と指摘した。
結局、三星電子はスマートフォンや半導体でない新たな成長事業が必要な局面だ。 クォン・オヒョン副会長もこの日「未来成長動力確保のために新規事業を持続的に発掘し、オープン イノベーションなどを積極的に推進し、未来競争力をより一層強化しなければならない」と話した。 設備投資費用が相対的にあまりかからないスマートフォンのおかげで積もった30兆ウォンの現金も、長期低成長に対する備えと新しい成長動力投資に使われる展望だ。 先月初め、日本を経てベトナム・中国を訪問したイ・ゴンヒ 三星電子会長もやはり3週間にわたり日本に留まり、危機対応方案を考えていると三星関係者は伝えた。
キム・ジンチョル記者 nowhere@hani.co.kr
写真 三星電子提供