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暴走するトランプ、米国の覇権衰退の証拠【レビュー】

登録:2026-02-21 07:32 修正:2026-02-21 08:29
ベネズエラのマドゥロ大統領が米国によって逮捕され、米国麻薬取締局に拘束されている様子を、先月4日(現地時間)にホワイトハウスがXのアカウントで公開した/AFP・聯合ニュース

 米国のドナルド・トランプ大統領は先月3日、ベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロを拉致し、米国へ連れ去った。彼はまた、デンマーク領グリーンランドに対する欲望を何度もあらわにしている。トランプのこのような暴走は、米国の強大な力を示す証拠なのだろうか。

 そうではないどころか、むしろそれは米国の覇権が衰退している証拠だ、というのが朴露子(パク・ノジャ)教授(オスロ大学)の考えだ。新刊『野蛮時代の帰還』で彼は、米国を中心とした自由民主主義価値同盟の成立から2010年代以降の米国一極体制の終えんまでを概観しつつ、米国の覇権の没落後に新たに展開される国際秩序と韓国の対応の方向性について議論を繰り広げる。本書のタイトルには、米国の覇権を支えてきた民主主義と合理性という普遍的価値観が崩壊し、弱肉強食と力の論理が支配する現実は、第2次世界大戦に向かって突き進んだ1930年代末に似てきているという意味が込められている。

『野蛮時代の帰還』|朴露子著、ハンギョレ出版、2万2000ウォン//ハンギョレ新聞社

 「急速な技術の発展、国家化する経済、徐々に狭まりつつある国境、そして開き続ける格差と大衆の生活水準の凍結や低下、最終的には経済問題を解決する大きな戦争の到来…」

 こんにちの世界情勢は第2次世界大戦に帰結した1930年代末の状況に酷似していると朴教授はとらえる。ソ連出身の彼が、トランプにソ連崩壊期の2人の指導者、ゴルバチョフとエリツィンの姿を重ねているのが興味深い。一見すると突発的で奇異にみえるトランプの諸政策は、実際にはオバマとバイデンの民主党政権が選択した保護貿易と中国との対立政策という基調を極端に引き継いだに過ぎないという観察も鋭い。

 トランプの米国は競争相手として浮かび上がった中国を排除しようとしているが、そのような試みは結局成功しえず、米国と中国は覇権を共有することになるだろう。世界各地で革命に準ずる民意の抵抗があらわれない限り、希望を見出すのは難しいと朴教授は診断する。にもかかわらず、米国一極体制の崩壊という危機的状況は、韓国にとってはむしろチャンスにもなりうるという。戦時作戦権の返還によって米国依存から脱却するとともに、東アジア地域内の経済協力を強化することで「ポスト米国時代」に対応すべきだ、というのが本書の結論だ。

チェ・ジェボン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1245634.html韓国語原文入力:2026-02-20 05:01
訳D.K

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