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大谷の7億ドル契約、「彼ら」に比べると少ない?

登録:2023-12-13 06:38 修正:2023-12-13 07:49
世界的スポーツスターらの収入
ロサンゼルス・エンゼルスからロサンゼルス・ドジャースに移籍する大谷翔平/AP・聯合ニュース

 大谷翔平(29)が米大リーグのロサンゼルス・ドジャースと10年間で総額7億ドル(約1015億円超)の契約を結んだ。7億ドルを契約期間10年(2024~2033年)に分けて受け取るわけではない。契約期間中は2000万ドルだけをもらい、残りの6億8000万ドルは2034年から2043年までの10年間、年金のように受け取る後払い式の契約だ。ドジャース球団はサラリーキャップによるぜいたく税を避けることができる一方、大谷も10年後に居住地によって税金を納めることになるため、節税効果を狙ったものといえる。大谷側がこのような契約を提案したという。

 大谷がドジャースのユニホームを着て10年間受け取る年俸は平均200万ドル(約2億9千万円)。彼が日本、米国などで稼ぐ年間後援金と広告収入が3500万~5000万ドル(約50~70億円)という点を考えると、年俸はむしろはした金のようにもみえる。

 実際、大谷は世界で最も多くのお金を稼ぐスポーツ選手ではない。リオネル・メッシ(インテル・マイアミ)、クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)のようなサッカー選手や、バスケットボール選手のレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)などに比べると、かえって収入が少ない方だ。

 米プロサッカー(MLS)インテル・マイアミと契約したメッシは、2025年までの2年半の間、最大1億5000万ドルの収入を上げる見通しだ。米スポーツ専門サイト「スポルティコ」によると、メッシは選手生活中に受け取った年俸、ボーナス、後援金などを含め、2025年には総収入16億ドルを超えることになる。メッシはFCバルセロナ時代に年俸とボーナスなどで年間1億ドル以上を稼ぎ、パリ・サンジェルマン時代でも税引き前の年俸は7000万ドルに達したという。メッシが米国舞台に進出する前にサウジアラビアリーグから年間4億ドルの年俸とボーナスを提案された点を考えると、メッシの収入は今後さらに増えるものとみられる。メッシは昨年10月、「プレイタイム」という投資会社を立ち上げた。

 一時、メッシと世界最高額を争っていたロナウドは、2022年5月から2023年4月まで1億3600万ドルを稼ぎ、同期間中最も多くの収入を上げたスポーツ選手(フォーブス推定値)となった。インスタグラムのフォロワー数が6億1000万人に達するロナウドは、広告の分野でもっとも魅力的な選手だ。彼は同期間中、広告収入だけで9000万ドルを稼いだ。ロナウドは2022年まで総額15億8000万ドルの収入を手に入れた。

 米プロバスケットボール(NBA)を平定したレブロン・ジェームズの収入もこれに劣らない。ジェームズの2023~2024シーズンの年俸は4760万ドルだが、広告などで8000万ドルの収入をさらに上げた。1億2760万ドルを1シーズンで稼ぐことになる。これは他のNBA選手より25%多い金額だ。それだけに、名前の価値を無視できない。ジェームズは今季を含めて総収入が14億ドルを超えている。ステフェン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)の場合は、今季年俸519万ドルと年俸外収入5000万ドルを合わせて、1億190万ドルを稼ぐ見通しだ。

 米プロゴルファーの収入も想像をはるかに超える。サウジアラビア国富ファンドの「オイルマネー」を前面に掲げた「リブ(LIV)ゴルフ」が発足したことで収入が大幅に増えたが、米国経済メディア「フォーブス」によると、ダスティン・ジョーンズ(米国)の場合、2022年5月から2023年4月までの1年間で1億1100万ドルの収入を上げた。彼はツアー参加の見返りとして1億2500万ドルを受け取った。フィル・ミケルソン(米国)も同期間、1億700万ドルの収入を上げた。ツアー参加で受け取った2億ドルは別途だ。ミケルソンは2022年までに計13億6000万ドルを稼いだ。

 元・現スポーツ選手全体で、最も多くの収入を上げたのは「バスケットボールの皇帝」マイケル・ジョーダンだ。ジョーダンは2022年までに33億ドルを稼いだ。ジョーダンの次にはタイガー・ウッズ(25億ドル)、アーノルド・パーマー(17億ドル)、ジャック・ニクラス(16億3000万ドル、以上スポルティコ推定値)らゴルフ選手が後に続く。彼らの収入を考えると、大谷の「10年間7億ドルの契約」はそれほど大きくみえない。しかし、彼が誘発する経済効果は無視できない。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は、大谷が2023年シーズンに誘発した経済効果を504億円(日本の観衆がロサンゼルス・エンゼルスのホーム球場で使った12億円と日本企業のホーム球場広告10億円を含む)と推定している。宮本教授は最近BBCとのインタビューで、「スポーツ選手個人がこのような水準の経済的影響を及ぼすのは前例のないこと」だとし、「日本の人気野球チームが日本シリーズで優勝するのと同じ効果」と語った。宮本教授は、2023年ワールドベースボールクラシック(WBC)で日本代表チームが優勝した経済効果を600億円と推算した。

 ニューヨーク・タイムズなどによると、米国内でプロバスケットボールやプロフットボール(NFL)選手たちと比べ、ローカル基盤のプロ野球選手たちの認知度はその半分にも及ばない。このため、大リーグの選手たちが全国単位の広告契約などで稼ぐ収入は限られている。しかし、これまで現代野球では見られなかった「二刀流」の大谷に対する関心は大リーグの外でも高まっている。ロサンゼルス・エンゼルスを離れ、新天地を求めて「ビッグマーケット」のドジャースに移籍した大谷の価値が、今後さらに上がるとみられているのもそのためだ。

キム・ヤンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/sports_general/1120114.html韓国語原文入力:2023-12-12 19:04
訳H.J

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