朝だからといって皆同じなわけではない。ある日は頭がすっきりしていて、シャキッとしているのに、ある日はあまり集中できず、ぼんやりする。特に前日飲みすぎたり、特別疲れたわけでもないのに、どうしてこんなに差が出るのだろうか。
集中力や注意力の低下は仕事の効率を低下させ、事故のリスクを高める。睡眠不足による注意力の低下は生産性の下落、安全事故などにつながりかねない。先進国の場合、年間国内総生産(GDP)の約2%に当たる費用が発生するという研究報告もある。例えば、米国だけでもその規模が年間4千億ドルを超えるという。
米国カリフォルニア大学バークレー校の研究陣が実験を通じて朝の時間の覚醒度を決定する4つの要因を見つけ、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。
人の精神的な覚醒状態と関連したこのような質問でよく直面する課題は、遺伝の影響だ。研究陣はこの問題を一緒に調べるために、833人の被験者のうちかなりの割合を双子で埋めた。
研究陣は2週間にわたって被験者の食べ物摂取、身体活動、睡眠の類型、血糖値を記録した。被験者にはそれぞれ、毎日朝から夕方までの間に一定の時間間隔で自分の覚醒度と気分などについて点数を付けるようにした。実験期間中、被験者たちは平均午前8時12分に朝食を始め、起床後の食事までの時間は1時間8分だった。
実験が終わった後、客観的数値と主観的回答を総合分析した結果、遺伝的影響はほとんどないことが分かった。その代わり、生活習慣と関連した4つの要因が明らかになった。
糖分を摂取すると気分が高揚するという俗説は嘘?
第1の要因は睡眠の類型、すなわち睡眠時間と就寝時間、睡眠の効率だった。概して睡眠時間が長く、起床時間が遅い人がよりすっきりした朝を迎えた。また、睡眠時間が同じなら、起床時間が遅い時、朝の覚醒状態が良かった。しかし、全体就寝時間のうち、実際の睡眠時間の割合を意味する睡眠の効率は覚醒度に大きな影響を与えなかった。
第2の要因は前日の運動量、すなわち身体活動量だった。前日の昼に活動量が多ければ、途中で目覚めることなく熟睡する場合が多く、これはすっきりとした朝につながった。しかし、夜の運動は翌朝に否定的な影響を及ぼした。
研究陣は「昼間は活発に運動するが、夜は運動をしない方が睡眠の質を高め、翌朝起床後の覚醒度を高めることが分かった」と明らかにした。
第3の要因は朝食だった。標準的な食事(炭水化物:脂肪:タンパク質=5:4:1)に比べて炭水化物の比重が高い朝食(例えば、マフィン3個)を取った場合、比較的午前中の覚醒度が高かった。一方、高タンパクの朝食(例えば、マフィン2個とミルクシェイク1個)は反対の効果を示した。比較のため、被験者たちには同じカロリーの標準化された食事が提供された。
第4の要因はブドウ糖飲料だった。ブドウ糖飲料の摂取が多いほど覚醒度が低下し、少ないほど覚醒度が高くなった。この実験で重要なのは、食後の血糖値の変化だ。食事の代わりに摂取したブドウ糖飲料は、直ちに食後の血糖値を急上昇させた。
これは甘い食べ物をたくさん摂取すると「シュガー・ラッシュ」(糖摂取後の一時的過剰行動)より「シュガー・クラッシュ」(糖摂取後の一時的無力感と疲労感)現象が起きることを意味する。 甘いものを食べると気分が高揚するという俗説には根拠がないという話だ。
実際、ドイツのフンボルト大学と英国のランカスター大学の研究陣は、31編の研究論文を分析した結果、俗説とは異なり糖類をいくら多く摂取しても気分を改善する効果はなく、むしろ摂取後1時間以内に疲労感が増し、注意力が低下することが分かったという研究結果を、2019年国際学術誌「神経科学と生物行動概観」(Neuroscience & Biobehavioral Reviews)に発表したことがある。 研究陣は、ブドウ糖を感知するニューロンが視床下部内で覚醒を促進するオレキシンシステムを抑制することをその理由として挙げた。
高炭水化物の食事とブドウ糖飲料が異なる方向の効果を示すことについて、研究陣は高炭水化物の食事は他の栄養素と共に摂取され、相乗効果を発揮する点、炭水化物中心の食事の糖分子構成がブドウ糖と異なる点などを挙げた。
食事の回数が多いほど朝の覚醒度低下
これらの要因は毎朝変わる覚醒度に影響を及ぼすものだ。では、毎日を貫く平均的な覚醒度を決定する要因は何だろうか。
研究陣の分析結果、幸福感(気分)、年齢、睡眠の質、食事の回数の4つが平均的な覚醒度を支える要因であることが分かった。この中で最も大きな影響力を及ぼすのは幸福感と年齢だった。
目を引くのは食事の回数だ。食事の回数が多いほど覚醒度が低い。例えば、1日平均5回以上食事をした参加者は、3~4回食事をした参加者より覚醒度が有意に低かった。
研究陣は、ここで言及された要因は固定されたものではなく、生活習慣の矯正を通じていくらでも変えられると指摘した。研究陣は特に、午前中に最適な覚醒状態を維持するためには、血糖値を一気に高める朝食を避けた方が良いと助言した。