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氷の塊の冥王星もかつては暖かかった?…氷の下に火山があった

登録:2022-04-02 10:18 修正:2022-04-02 18:45
地中から液体物質が染み出てきた後、凍ったと推定 
五輪プール40億個を満たす分量に該当
ニューホライズン号が2015年7月14日、3万545キロメートルの距離で撮影した冥王星。右側下の白色部分がスプートニク平原=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

 表面は氷の塊だが中は暖かい液体?

 太陽系で最も外側にある天体の冥王星から、地質学上、比較的最近まで活動したものとみられる氷火山の証拠が出てきた。

 宇宙探査機ニューホライズン号が2015年7月、冥王星の近くを通過して送ってきた資料を分析した結果だ。氷火山(Cryovolcano)は、表面温度が極めて低い天体において、アンモニアや窒素など沸点が低い物質が液体状態で地表の外に染み出てくる現象をいう。地球では見られず、ケレス準惑星や海王星の衛星トリトンなどで発見されたことがある。

 米国サウスウェスト研究所の研究チームは、18万平方キロメートルに達するスプートニク平原の南西側の氷の地形を分析した結果、氷火山の活動によって地中にあった歯磨き粉ような性質の粘液物質が外に染み出た後、凍りついたものとみられると、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。地球の氷は水が固体化したものだが、冥王星の地表面の氷の成分は、主に窒素、メタン、水で構成されている。

 研究チームが分析した氷の地形には、「ライト」と「ピカール」という名前の二つの山をはじめ、高さ1~7キロメートル、幅30~100キロメートルに達する様々な丘が散在している。今回の研究を率いたケルシー・シンガー博士は、「その氷の地形は非常に荒々しくでこぼこしている」とし、「そのような形は太陽系のどこにもみられない」と述べた。

青色が氷火山の活動過程を示している//ハンギョレ新聞社

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今から2億年以内に形成と推定

 研究チームは、冥王星特有のこのような地形がどのように形成されたのかを確認するために、探査機が撮った写真と成分分析データ、地形図を調査した。その結果、液体性の氷の成分が地下から地上に染み出てきて、徐々に巨大な山と丘を形成する氷火山の活動によるものだと結論を下した。何より、地形にみえる独特の波形は、侵食では作ることはできない。研究チームは「二つの山は、地球で最も大きい活火山であるハワイのマウナロアぐらいの大きさの氷が爆発するかのように高速で噴出したものではなく、ゆっくり染み出てきたという以外に他の可能性は考えにくい」と明らかにした。

 研究チームは、丘が重なっている形をしていることからみて、火山活動が何回もあったと推定した。研究チームは、特にこの地域にクレーターがみられないことに注目した。これは、火山活動が比較的最近起きたということを意味するからだ。シンガー博士は「氷火山はおそらく今から2億年以内に形成されたものとみられる」と述べた。しかし、氷火山の活動が今も進行中なのかについては、確実ではないと付け加えた。

 研究チームの計算によると、現在のような規模の火山の地形が作られるには、10000立方キロメートル以上、五輪プール40億個を満たす程度の物質が、地殻を突き抜け染み出てこなければならない。これは、これまで科学者が予想していたものに比べ、冥王星内部がより活動的だったということを意味する。物質が地表をほじくり外に突き出るには、それに見合うエネルギーが必要だ。研究チームの解析が正しければ、冥王星の地中には、最近の時点まで、かなり温度が高い液体物質があったという話になる。

地球と月(左側上)と冥王星(左側下)のサイズの比較=ウィキメディア・コモンズ//ハンギョレ新聞社

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地中の暖かさを維持させたものは?

 しかし研究チームは、地中の熱を維持させる要素は何かについての証拠は見つけられなかった。それでも、地下に海が流れる氷の世界を想像することは、おかしなことではない。

 木星の衛星のエウロパと土星の衛星のエンケラドゥスの地中には海がある。科学者らは、この二つの場合、母天体である木星と土星、そして近くにある衛星との重力相互作用が加熱効果を起こしていると推定している。しかし、冥王星には、そのような重力のしくみを引き起こすほどの天体は近くにない。米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究チームは、冥王星の初期に他の天体との衝突により熱が発生した可能性もあるとする研究結果を、2020年に「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表したことがある。

 地球のような岩型の天体である冥王星は、半径が1151キロメートルで、月(1738キロメートル)より小さい。地球とは反対方向に248年に一回太陽を楕円軌道で回っている。太陽との距離は、近い時は44億キロメートル、遠い時は74億キロメートルに達する。また、表面温度は零下200度を超え、重力は地球の6~7%、大気圧は地球の10万分の1の水準だ。このような極端に低い温度と低い大気圧、低い重力の条件のもとで、粘液性物質が地表面に染み出てきて作った広大な氷の地形は、冥王星を太陽系では非常に独特な天体にしている。

 ブリガムヤング大学のヤニ・レイドボー教授(地質学)は「ニューヨークタイムズ」に、「宇宙から送られてきたデータは、私たちにいっそう良い想像力が必要だということを教えてくれる」と述べた。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1037161.html韓国語原文入力:2022-04-01 11:04
訳M.S

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