天体観測史上最大の彗星が太陽系に向かって来ていることが確認された。発見されたのは8年前だが、最近になって正確な大きさがわかった。
フランスのパリ天文台とスペインのアンダルシア天体物理学研究所の共同研究グループは最近、オンライン辞書出版論文集「アーカイブ」(arXiv)に、2014年に発見されたベルナーディネッリ・バーンスティン彗星(Bernardinelli-Bernstein)の直径が137キロメートルに達すると発表した。
これは、これまでに発見された彗星の中で最も大きな「ヘール・ボップ(Hale-Bopp)彗星」のほぼ2倍の大きさだ。1995年に発見されたヘール・ボップ彗星は大きさが74キロメートルだった。
しかし、肉眼でも見られたヘール・ボップ彗星とは違い、ベルナーディネッリ・バーンスティン彗星はあまりにも遠くにあるため肉眼では観測できない。この彗星の名前は2014年の最初の発見者であるペンシルベニア大学の天文学者ゲイリー・バーンスティンとワシントン大学の博士号研究員ペドロ・ベルナーディネッリの名前からつけられた。
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太陽系外の「彗星の故郷」オールトの雲
当時、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の観察データから約43億キロの距離にあるこの天体を発見した2人は、その後4年間追跡を続けながら、この天体が動いていることを確認した。その後、アマチュア天文学者たちが彗星の証拠といえるガスと塵を捉えた。
ベルナーディネッリ・バーンスティン彗星の故郷は、地球から太陽の距離の2千~5万倍(0.03~0.8光年)にもなる広大な宇宙空間で太陽系を取り囲んでいると推定されるオールトの雲(Oort cloud)だ。
オールトの雲は、球形の外部のオールトの雲と、その中にあるドーナツ型の中心のオールトの雲で構成されている。この中で、太陽の方に弱く引っ張られている外部のオールトの雲が、ハレー彗星のような長周期の彗星を太陽系の方に送ると科学者たちは推定している。
オールトの雲を形成している物質は水、アンモニア、メタンなどの氷片だ。この氷片が彗星の核を成す。オールトの雲ではこのような氷の物体が数十億~数兆個に達するとみられる。
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太陽に近づくにつれて尾が長く
研究グループがベルナーディネッリ・バーンスティン彗星の大きさを確認したのは2021年8月、南米チリのアタカマ砂漠のアルマ(ALMA)電波望遠鏡の観測データを通じてだった。当時、地球と彗星までの距離は地球から太陽の距離の19.6倍、すなわち30億キロメートルだった。発見当時に比べて10億キロ移動していた。
研究グループは、彗星の光反射率や彗星の核から放出されるマイクロ波の放射測定を通じて、彗星の大きさを突き止めることができた。研究チームは「ベルナーディネッリ・バーンスティン彗星はこの方法を利用して測定した中で最も遠い距離にある天体」と明らかにした。彗星は太陽に近づくほど氷が蒸発し、尾が長くなり、本体は小さくなる。
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350万年ぶりに再び太陽系に接近
これまでの研究によると、ベルナーディネッリ・バーンスティン彗星の今回の宇宙旅行は、地球から太陽の距離の4万倍になる地点、すなわち6兆キロメートル(0.6光年)離れたところから始まった。冥王星までの距離が60億キロメートルなので、冥王星より1000倍も遠いところだ。軌道を一周するだけでも数百万年かかる。
科学者たちの計算によると、ベルナーディネッリ・バーンスティン彗星が太陽系を訪れるのは350万年ぶり。当時は海王星より少し近い、太陽から27億キロの地点にまで近付いた。
その後、オールトの雲に戻ってから再び始まった今回の移動で、今の位置に来るまでには139万年かかった。ベルナーディネッリ・バーンスティン彗星は2031年1月23日、太陽に最も近い宇宙空間に到達する。彗星の近日点の位置は土星の軌道の向こう側で、距離でいえば地球から太陽までの距離の11倍に当たる16億キロ地点になると予想される。これまでの宇宙旅行の中では太陽に一番近づいているという。地球と最も近づく時期は2031年4月5日で、この時の地球との距離は15億キロ。彗星は方向を変えて再び8兆キロメートルを飛び、220万年後にオールトの雲の奥深くの暗黒宇宙に到着する。
研究グループは、今後10年のあいだに地球との距離が現在の半分の水準に縮まるという点に注目している。彗星が太陽に近づくにつれてどのように変わるのか、長期的に観察できる前例のない機会になり得るからだ。
今回の研究を率いたパリ天文台のエマニュエル・ルルーシュ研究員は、科学専門誌「ニューサイエンティスト」に「彗星の大きさを知ることができたので、この彗星の活動性がどのくらいなのか研究できるようになった」と述べた。
今回の研究は現在、国際学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レター」より掲載承認を受けた状態だ。