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国立中央博物館提供//ハンギョレ新聞社

　古代の墓などの遺跡を発掘調査し歴史的事実を研究する近代考古学の発掘調査が、朝鮮半島で始まったのは20世紀の初め、旧韓末～日帝強制占領期(日本の植民地期)だ。当時、日本人学者たちは日本の警察と官吏の支援の下で新羅の首都である慶州(キョンジュ)と古朝鮮・高句麗の首都である平壌(ピョンヤン)一帯の古墳を、辺り構わず暴いた。盗掘に近い大量発掘を行い、莫大な量の古代遺物を日本に搬出した。

　このように進められた日帝の古墳調査の中で最も有名なのは、新羅の金冠文化と積石木槨墳の構造を明らかにした1920年代の慶州、金冠塚(クムグァンチョン)・金鈴塚(クムニョンチョン)の調査だ。だが考古学の専門家たちは、朝鮮半島の古代古墳発掘事業の本格的な始まりであり、その後の考古学調査の軸をたてた決定的事件として、1916年9～10月に平壌大同江岸で進められた「石巌里9号楽浪古墳発掘」を挙げる。

　平壌の石巌里9号楽浪古墳は、紀元前1世紀の古朝鮮の滅亡後、朝鮮半島西北地方に進出した中国漢代の楽浪勢力の墓と推定される遺跡だ。この発掘調査では、韓国国内で出土した金工芸品の中でも完成度が最も優れた名品と評価される7匹の龍の模様が浮き彫りされた金製帯輪装飾(バックル)をはじめ、漢字と模様のある漆器類、鏡、祭事用の酒器である銅鼎(どうてい)、装飾鉄剣などの華麗な遺物が相次いで見つかった。相当数の遺物が漢の典型的生活容器と装身具類であるため、平壌一帯の楽浪郡が漢の植民地だったという日本の植民史観が形成される契機となった。

　国立中央博物館が、発掘から104年ぶりに平壌石巌里9号墳の楽浪時代墓に対する報告書を韓国国内の学界専門家たちと共に初めて出した。日帝は、1917年、1925年、1927年の3回にわたり石巌里9号墳を含む一帯の古墳を一括りにして大規模発掘報告書を出したが、最も重要な石巌里9号墳の遺物の全貌と分析内容、発掘状況などを総合的にまとめた報告書は発刊しなかった。それで解放後に韓国考古発掘の始まりと言われる石巌里9号墳の発掘調査を整理することは、学界の長年の宿題であった。これまでその内容をしっかり整理できずにいたが、博物館の学芸陣とチョン・インソン嶺南大学教授(考古学)、チュ・ギョンミ博士(工芸家)など、各界の専門家が力を集めて決算報告書を作った。

　報告書には、現存する90件351点に達する9号墳出土品に対する完全な調査と分析結果が書かれている。各遺物をCTおよびＸ線などで隅々まで分析し、50年代以後の類似する遺跡と遺物に対して発掘研究した韓・中・日の考古学界の成果と対照して、墓と副葬品の性格を詳細に把握した。

　関野貞など発掘当時の日本人学者は、出土品を漢中原の遺物とし、墓の主人は中原に派遣された植民支配者と断定した。だが報告書では、温かい酒を入れる容器である青銅温酒尊や玳瑁(タイマイ)装飾など副葬品の相当数が中国広西省・広東省やベトナムなど南方から来た遺物であることを考証し、楽浪地域が南方と密接に交易していたことを示した。

　この古墳の最も有名な出土品である金製帯輪遺物も、中国中原では発掘事例がなく、新疆内モンゴル地域で類似の事例が見られるという。北方遊牧民の典型的な工芸的特徴を示すという点で、中国中原から一方的に受けたものではなく、自主的な国際交易網により買い入れたものなどと見た。楽浪社会が考えられていた以上に開かれた社会であり、中国中原政権に政治的に強く隷属してはいなかったという見解を提示したわけだ。

　博物館はまた、CT撮影を通じて、これまで見つからなかったり分からなかった遺物の存在も新たに把握できた。墓の木棺の外側から出土した金装飾の鉄製環頭小刀はなくなったものと考えられていたが、博物館側が別の金属遺物保存処理のために錆を除去して、その存在を確認する成果を上げた。イ・ナギョン学芸員は「学界では、石巌里9号墳出土品のうち、金製帯輪のような主な名品を把握しただけで、遺物全体の内訳はほとんど知られていなかった」として「出土品の具体的な全貌と様相を明らかにし、当時の楽浪社会が中国以外の南北方地方とも活発に交流した断面を立証したことが報告書の最大の意義」と話した。