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「青年・尹東柱」と出会う、北間島の「星を数える夜」

登録:2017-12-26 09:40 修正:2017-12-26 12:29
詩人尹東柱生誕100周年を迎え 
29日から生・文学を称える 
ハンギョレ統一文化財団のテーマ旅行 
韓中日の参加者らが交じり合い 
歌や詩の朗読・集談会などの文化イベント
中国吉林省延辺朝鮮族自治州の龍井市明東村にある尹東柱の生家。誰かがいたずらっぽく壁の黒板に「掃除当番・文益煥、遅刻生・尹東柱」と書いた=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)(1917~1945)は、韓国国民にとって「民族詩人」と呼ばれるが、彼の意味は一国の垣根の中だけに収められない。厳酷な植民地統治の下で、北間島と朝鮮半島、日本を行き来しながら27年という短い生涯を送ったが、「すべての死にゆくものを愛」する普遍的で偉大な“詩の心”を残しているからであろう。

 尹東柱誕生100年を迎え、ハンギョレ統一文化財団は29日から1月2日まで詩人の故郷の吉林省龍井市明東村一帯をめぐる「空と風と星と詩人の道をたどって―青年東柱に会う」という題のテーマ旅行に発つ。尹東柱は、朝鮮人たちが築いた生活の基盤であるここ明東村で生まれ15歳まで暮らし、その後もっと広い学びのために平壌(ピョンヤン)へ、また日本へ留学に行った。誰でもそうであるように、故郷は彼にとって心のよりどころだった。旅行団は詩人尹東柱の生家と明東教会、龍井の大成中学校とヨンドゥレ井戸などを視察し、近くにある彼の墓を訪ねる予定だ。

 30日には白頭山の関門である二道白河のあるホテルで、尹東柱の時代と生を称える集談会と詩の朗読、音楽コンサートを一緒に行う行事「尹東柱と彼の時代」が開かれる。12月30日は詩人の誕生日なので、彼の100歳の誕生日を記念する席でもある。キム・スボク檀国大学副総長とキム・ウンギョ淑明女子大学教授(韓国)、オ・ギョンジュン『中学生』主筆とホ・グクチョル龍井中学校教諭(中国)、元朝日新聞記者のイナイアヤ氏とソウル大学先任研究員の吉方べき氏(日本)など韓中日3国から来た参加者たちが尹東柱の生と文学の意味を振り返る予定だ。集談会に先立ち、パク・ジンボム韓国放送(KBS)PDが韓国放送ドキュメンタリーである『不滅の青年、尹東柱』の編集版を上映し、集談会後に歌手のホン・スングァン(韓国)、李政美(イ・ジョンミ)(日本)の歌と詩の朗読会などが続くなど、充実した文化行事が計画されている。

 京都の同志社大学に留学中だった尹東柱が解放を半年後に控えた1945年2月16日、福岡刑務所で獄死した時、この悲運の若い詩人の存在を知っている人はそれほど多くなかった。尹東柱は「独立意識の高揚を図った」として「治安維持法」違反の疑いで宋夢奎(ソン・モンギュ)、高煕旭(コ・ヒウク)とともに日本の警察に逮捕され、懲役2年の宣告を受けて服役中に原因の分からない病気で獄死した。遺骨になって故郷へ戻ってきた詩人は、龍井の裏山にある中央教会墓地に埋葬された。尹東柱の生と彼の文学世界は、彼の友人の鄭炳ウク(チョン・ビョンウク)、姜處重(カン・チョジュン)などの努力により、終戦後に広く知られ、すでに世を去った彼は「民族詩人」として新しい名前と生を得た。

中国吉林省延辺朝鮮族自治州の龍井市明東村にある尹東柱の生家の全景=ハンギョレの資料写真//ハンギョレ新聞社

 過去の歴史を無視し続けてきた日本でも「尹東柱の詩を読む会」が作られるなど、彼を記憶しようとする少数の努力が絶え間なく続いてきた。韓国現代詩を日本に紹介してきた詩人の茨木のり子(1926~2006)が『ハングルへの旅行』(1986)というエッセイ集に「悲運の青年詩人、尹東柱」という文を掲載したのが代表的だ。このような努力は今回の行事に来る日本人参加者らにも続いている。茨木のり子のエッセイ集を通じて尹東柱を知るようになったというイナイアヤ元朝日新聞記者は「今年、日本でも映画『東柱』が封切られて好評だった」と伝えている。吉方べきソウル大学先任研究員は集談会で「日本人が見た東柱」というタイトルで、尹東柱が日本に知られるようになった過程と誕生100年を迎えた最近の動向などを紹介する予定だ。

 他の参加者たちの面々からも、時代や場所を超えた“尹東柱愛”を感じることができる。集談会の司会を務めたリュ・シギョン聖公会神父は、尹東柱が在学していた立教大学の校牧として働いていたときに「立教尹東柱追悼会」を創立したことがある。キム・スボク檀国大学副総長は『星の歌―尹東柱の生と詩」、キム・ウンギョ淑明女子大学教授は「ように―詩で会う尹東柱」という著作を書いた文人たちだ。中国側参加者であるオ・ギョンジュン主筆は、中国朝鮮族中学生の尹東柱文学賞の作文コンテスト運営委員会長を務めており、龍井中学校(旧大成中学校)の国語教師であるホ・グクチョル氏は延辺の尹東柱の詩朗読会の会長だ。パク・ジンボムPDは2015年にドキュメンタリー『不滅の青年、尹東柱』を作った。

 世界各地を回り生命・平和・統一などをテーマに公演を開いた歌手ホン・スングァンと、韓国と日本の真の和解と共生のための公演を繰り広げてきた在日同胞2世の歌手・作曲家の李政美は、尹東柱の詩の「十字架」、「序詩」などに曲をつけるなど、尹東柱の精神に共感した芸術家たちだ。

チェ・ウォニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/825014.html韓国語原文入力:2017-12-25 21:40
訳M.C

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