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[書評]「米国は朝鮮半島への介入を止めなければならない」

登録:2017-11-16 22:03 修正:2017-11-17 08:44
『アメリカの朝鮮半島介入に対する省察』(チャン・スン著、チョン・スンヒ訳、フマニタス、2016)//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領の訪韓中に、大統領府晩餐会場に「日本軍慰安婦」被害者を招請し「独島(ドクト)海老」をテーブルに上げたことはよくやったと言える。日本の官民が腹を立て、厚顔無恥で幼稚な内政干渉的発言を浴びせたのを見れば、日本の右派がその問題にどれほど焦って当惑したかも察することができる。

 だが、その問題に対する米国の責任が重いという事実を想起すれば、トランプが韓国の国会と大統領府であたかも韓国の保護者で救援者であるかのように振る舞ったのは見苦しかった。先日、マイケル・ホンダ元米国連邦下院議員も述べたが、1951年の米日間「サンフランシスコ講和条約」がその問題をどのように隠蔽、歪曲したかを綿密に調べてみる必要がある。その時、米国は証拠が明白な慰安婦強制連行、731部隊の蛮行などの日本の犯罪事実を、当事国と国際社会の真相究明および処罰要求にもかかわらず覆い隠してしまい、韓国領土である独島の所属をごまかして今の問題を作った。

 「(冷戦で)米国は日本を自身の覇権下にある東アジアの属州総督国とし、ドイツをヨーロッパの属州総督国にすることを決めた。あるいは“洗礼”を与えたと言う方が正しいかもしれない」。先日、トランプの日本訪問時の追従に近い安倍晋三首相の接待について、ワシントンポストが彼を「トランプの忠実な助手」で「戦略的奴隷」と嘲弄したのには、それなりの理由がある。

 悲しいことに、戦犯国日本の代わりに分断された韓国は、日本を保護するための盾の国家に過ぎなかったと『アメリカの朝鮮半島介入に対する省察』(チョン・スンヒ訳、フマニタス、2016)で、著者のチャン・スン氏(67)は書いた。

 「この二つの従属地区(ドイツと日本)は、自分たちが生産した戦争物資中心の工業生産品を、低開発国のネットワークに販売することによって、各地域で生産と貿易の中心に位置することになった。地域的統合という旧日本帝国の大東亜共栄圏が再生するということ、そしてその地域内の主要部分である韓国の原料と労働力が日本の産業需要に従属することを意味した」

 チャン・スン氏は15歳の時に米国に渡り、ジョージタウン大学で博士学位を受けハーバード大学フェアバンクセンター研究員、レジスカレッジ教授、北京大学客員教授などを務めた在米同胞学者だ。彼は、朴正煕クーデターで政権を奪取された張勉(チャン・ミョン)第2共和国首相の4番目の息子だ。彼はマイケル・シャラーの『アジアにおける冷戦の起源―アメリカの対日占領』を引用して付け加えた。「要するに米国は韓国を日本の再産業化という課題に従属する存在、すなわち日本を保護するための盾となる要塞国家であり、原料と安い労働力を供給する供給源として取り扱うことを決めた。言い換えれば、韓国は米国と日本の植民地-従属国家-として扱われなければならなかった」

 朴正煕(パク・チョンヒ)とその追従者が一貫して主張してきた産業化とか「漢江(ハンガン)の奇跡」は、そうした米国の戦略を抜きにしては語れない。韓国の民衆は、4.19革命からろうそく革命に至る抵抗と蜂起を通じて、その成果を自分たちのものとして勝ち取ったが、チャン・スンは朝鮮戦争も米国が広島・長崎への原爆投下直後に敢行した無惨で一方的な朝鮮半島分断さえなければ起きなかったことだと断言した。

 逆説的にも、朴正煕でさえもクーデターを正当化するために書いた『国家と革命と私』(1963)で「世界史でも類例を探し難い程に甚大な」「我らの苦難」である国土分断が、「米国をはじめとする戦勝国の戦後措置が起因」になったもので、朝鮮戦争も「分断の種としてまかれた所産」だと述べた。朝鮮半島40年信託統治を主張したのも米国だった。

 70年を超える“苦難”はもう終わらせなければならない。米国は朝鮮半島への介入を止めなければならない。

ハン・スンドン本の知性チーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/819449.html 韓国語原文入力:2017-11-16 20:10
訳J.S(1765字)

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