姿もはっきりしない市民たちがスローガンを叫びながら行進をした。行進の隊列は大統領府へと向かう道に続くソウル光化門(クァンファムン)広場の北に進んだ。昨年4月18日、セウォル号沈没の惨事1周年の追悼集会に参加した市民と警察が大規模な衝突をした後、この周辺では集会がほとんど禁止されている。農民のペク・ナムギ氏が警察が発砲した放水銃に倒れた昨年11月の民衆総決起大会当時も、警察はここでの集会の申告に禁止を通告した。
しかし24日夜、市民たちは光化門広場の北側に集まり、思う存分叫びながら堂々と行進した。“幽霊”だったからだ。集会参加者たちは実際の人ではなく、横10メートル、縦3メートルのホログラムスクリーンに事前に製作したホログラム映像を映し出して作った、演出された場面だった。朴槿恵(パククネ)大統領就任3年を翌日に控えて開かれた幽霊集会は、アムネスティ・インターナショナル韓国支部が集会・デモの自由が侵害されている現実を皮肉るため用意したイベントだ。「ホログラム・フォー・フリーダム」が昨年4月、公共機関周辺での集会を禁止する法に反対しスペインで開いたホログラム映像デモに次ぐ、世界で2番目の試みだ。アムネスティ・インターナショナル韓国支部は2日をかけ、ソウル麻浦区のスタジオで120人余りが集まって集会のシーンを事前に撮影してホログラムにする作業をした。
ホログラム映像で光化門広場に立ったキム・ヒジン国際アムネスティ韓国支部事務所長は「セウォル号の惨事以来、私たちが立っているこの場所から大統領府までは集会ができない禁止区域になってしまった。交通の不便を理由に集会が禁止されたこの街で、民主主義の基礎であり憲法が保障する集会・デモが可能なのは私たちのような幽霊だけ」と訴えた。平和蝶代表のキム・スム氏は「幽霊になっても叫びたかったのは一つ、集会・デモの自由が保障されること」と叫んだ。
“幽霊”たちは「集会の権利は人権だ」と書かれた横断幕を持ったまま叫んだ。「今日、私たちは幽霊となってしまったけど、本当は幽霊なんかではありません。権利を持った市民です。幽霊たちの集会は今日が最後でなければなりません。人権のない幽霊たちの集会の代わりに、本当に人々が享受できる集会・デモの自由を要求します」
韓国語原文入力:2016-02-25 01:30