朝鮮王朝時代、王が大地と穀物の神に祭祀を行った祭壇として宗廟(チョンミョ)とともに、国内で最も神聖な空間だったソウルの社稷壇(サジクタン)旧跡(史跡121号)に対する最初の発掘成果が出た。文化財庁と蔚山(ウルサン)文化財研究院はソウル西村(ソチョン)の社稷洞にある社稷壇の典祀庁圏域を4月から発掘した結果、典祀庁跡をはじめとする建物跡5棟と周辺の塀跡が出てきて多量の瓦や軒丸瓦、粉青沙器、青華白瓷も出土したと19日発表した。
今回の発掘調査は旧韓末と日帝強制占領期間に原形が毀損され変質した社稷壇を復元するための最初の事業だ。 発掘が行われた典祀庁跡は祭祀の時に酒や料理などのお供えを準備した空間だ。 発掘調査の結果、境内でお供えを準備した宰牲亭、祭祀用品を保管する倉庫である祭器庫、社稷壇を管理する官員の住居である守僕房、穀物を搗いた杵臼家の建物跡が相次ぎ確認された。 また、祭祀を上げる料理を置いた饌幔臺跡と井戸、排水施設も出土した。
当初、社稷壇は社稷大祭が廃止されて1922年に公園に変わったのに続き、1941年にはプールが作られ大きく毀損されていると予想された。 しかし今回の調査の結果、地下2メートルの地点から考証資料と一致する遺構が相次ぎ確認され、敷地の相当部分については原形が残っていると見られると調査団は明らかにした。
文化財庁は今回の調査を皮切りに2027年までに予算164億ウォン(約17億円)を投じて建物13棟を復元し3棟を補修するなど、社稷壇復元整備計画を推進する予定だ。 これに先立って子供図書館など後代に社稷壇境内に作られた住民便宜施設の代替移転を巡り住民が反対運動を行い軋轢が生じた。文化財庁は一部の施設を移転対象から除外する方向で協議を進めていると明らかにした。