本文に移動
全体  > 文化

[書評]名もなき運動圏に捧げる本

登録:2015-06-25 23:46 修正:2015-06-26 07:31
『民衆づくり』イ・ナムヒ著ユリ・イ・ギョンヒ訳フマニタス刊・2万5000ウォン //ハンギョレ新聞社

『民衆づくり』
イ・ナムヒ著ユリ・イ・ギョンヒ訳
フマニタス刊・2万5000ウォン

 1970~80年代の韓国の民主化運動は、経済規模の急成長に劣らず激烈で躍動的だった。政治的民主化運動と社会階級運動の性格が混在したこの時期の運動に参加した人々にとって“民衆”とは、歴史の主体に屹立すべき絶対的信仰対象に近かった。 『民衆づくり』は米国カリフォルニア州立大(UCLA)アジア学副教授である著者が、韓国で“民衆”談論が熱かった背景と過程、その意味を膨大な資料と几帳面なインタビューを基に分析した本だ。 当初2007年に英語圏読者を対象に書かれ(原題:The Making of Minjung)8年後に韓国語版が出た。

 著者は「(“運動”を主導した)知識人と学生が“民衆”という単語を再発明しなければならなかったのは、我々が一度も歴史の主体であったことがないという危機意識のため」と診断する。 植民地の経験、外勢による解放、分断と戦争、息のつまるような資本主義移行の荒波の中で、知識人が国家主導の発展戦略と談論に対抗する対抗主体として発明したのが“民衆”だったということだ。 本の題名が民衆の“出現”ではなく、民衆“作り”だったのもそのためだ。 著者は「韓国の民衆運動は世界の歴代変革運動史の流れの中で議論されて然るべき大きな事件」とし、韓国の歴史を作った多くの名もなき運動圏(活動家)にこの本を喜んで捧げると献詞で書いた。

チョ・イルジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/697620.html 韓国語原文入力:2015-06-25 20:58
訳J.S(736字)

関連記事