登録 : 2015.04.17 09:49 修正 : 2015.04.17 12:37

『南北の青春、人権を語る』ホ・ダヨン、キム・ジョンヒョン著/ハンティジェ刊

2014年3月から11月まで「トダットダッ出版プロジェクト」に参加した南北の20代の若者。南北出身それぞれ5人ずつの10人で出発した頃に撮った写真。彼らのうち南北それぞれ3人ずつ、6人が完走した ハンティジェ提供//ハンギョレ新聞社
 南北出身20代の大学生が双方の人権を9カ月間討論
 見えてくるのは南北住民統合の解決法

 韓国に住む「北朝鮮移住民」(脱北住民)はどれほどの数になるのか?『南北、青春と人権を語る』を読むと、2014年末現在2万8000人に達する。途方もない数だ。いわゆる朝鮮族が多く居住する中国などを経由して彼らとつながる家族や知人などを考えれば、その外縁はさらに数倍、数十倍へと広がる。だとすれば南と北は敵対的分断状態という公式的外見の背後で、実に奇妙な形態ではあるが、すでに分離できない一つの体制、非公式の統合に向かってかなりの速度で進んでいると言えはしまいか。

 この奇形的な非公式統合がこれほどまで静かに(?) 進行できるのが、南側社会の寛大な包容力と受け入れ能力のためであるなら幸いなことである。 だが、それが「田舎くさいやつら」「貧乏人」「朝鮮の連中」「あいつら」といった蔑視や冷遇を受ける北朝鮮移住民差別と、彼らの自発的もしくは非自発的沈黙の中で一方的に進行しているとすれば、統合は望み通り進められないばかりか、新たな問題を内包したまま失敗に終わる公算が高い。

『南北の青春、人権を語る』ホ・ダヨン、キム・ジョンヒョン著/ハンティジェ刊

 この本によれば、2013年を基準にした北朝鮮移住民の平均月給は141万ウォン(2013年北朝鮮離脱住民支援財団統計)で、同じ年の韓国人平均月給323万ウォンの半分くらいだ。彼らの70%以上が非熟練労働に従事し、彼らの社会的待遇は“朝鮮族”より苛酷だ。北朝鮮移住民はほとんど、本人はもちろん兄弟や子供までが自分が北朝鮮出身であることを隠して生きている。北にからむ記憶、家族や知人との生き別れ、脱出過程での苛酷な経験によるトラウマが癒されないまま、孤立した中で直面しなければならない韓国社会との遭遇が与える衝撃まで、すべて濾過なしで体験することになる。彼らの多くがこのまま韓国人として生きていくべきか、北朝鮮人として残っていくべきかも分からず彷徨い続け、自分のアイデンティティをめぐる死闘を繰り返さねばならない状況であるなら、問題は深刻だ。

 『南北の青春、人権を語る』はこの“北朝鮮移住民問題”に少し風変りな接近を試み、非常に有効な診断と新たな処方を提示している点で注目に値する。この本には10代で北を離れ今20代半ばから後半の年齢になった北出身の女性2人と男性1人をはじめとした青春のただ中にある南北の6人、そして30代初めの作家と40代の移住民支援団体関係者が筆者として登場する。

 大学の中国語中国文学科を卒業した咸鏡北道・会寧(フェリョン)出身のホ・ダヨン氏(仮名)が考える南北の「女性人権」、大学の国際通商学科在学生の同道の茂山(ムサン)出身のチェ・イルファ氏が考える南北の「児童・青少年人権」、同じく会寧出身で大学経営学科在学生のノ・ミンウ氏(仮名)が考える南北の「性少数者人権」。南北の間にはどれほどの差があるだろうか?

 全体主義社会の北側がはるかに抑圧的で歪んでいるが、韓国社会もこの問題で決して自由ではないと筆者は指摘する。例えば南北は家父長的な男女差別社会という点で非常に似ているし、過熱した子弟教育の競争で子供たちを抑圧しているという点も、南側のほうがより深刻ではあるがよく似ていた。その文章を読んでいると、「地獄のような北朝鮮人権」という見立てでは北の人権問題は言うまでもなく、それと密接に絡まる南側人権問題もうまく解決できないと考えることになる。

 電子工学の学生キム・ジョンヒョン氏が辿る「移住労働者人権」、哲学科在学生キム・スンヨン氏が見る「軍人権」、経済金融学科休学生キム・ウンギョン氏の「障害者人権」に対する考えも、こうした問題に新たな視線を提供してくれる。

 さらに重要なのは、これらの文章を筆者の皆が共に勉強し、討論で使ったという事実だ。彼らは2014年3月から11月までの9カ月間、毎週日曜日に集まり数時間ずつ映画や本を一緒に観たり読んだりして、関連専門家たちの講義を聞き、関係者を各自別にインタビューした後、討論して認識を共有した。この作業は社団法人「より良い世の中のための共感」の大邱(テグ)地域非営利傘下機関である「北朝鮮移住民支援センター」が支援する「トダットダッ出版プロジェクト」を通して進められた。現在、大邱には北朝鮮移住民850人余りが暮らしている。

 この過程に注目する必要がある。つまり彼らの文章は北体制や脱出過程の苛酷さ、南側で受けた衝撃などを暴露、証言、告発する通常の脱北経験記とは異なる。推薦辞を書いた「私たちの民族助け合い運動」チェ・ワンギュ常任共同代表の言葉を借りれば、「優越していい暮らしをする韓国」と「物足りない北朝鮮」、個人のあいだの顕著な経済的地位差などを反映した序列や権力関係を最大限排除した“人の話”だ。

 韓国社会に自ら適応した南北出身の20代の男女大学生と同年齢の南側出身の男女大学生が“人権”を媒介として見つめる南北社会の話自体が面白いが、彼らが共に長期プロジェクトを通して互いに心を開く友人になったという点がさらに興味深い。まさにその過程および結果が、北朝鮮移住民問題、さらに進んで今後の統一過程で避けられない南北住民統合過程の解決法の重要なヒントを提供する。

ハン・スンドン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-16 21:06

http://www.hani.co.kr/arti/culture/book/687259.html訳Y.B

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