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龍の如く飛翔する百済職人の魂

登録:2014-10-23 23:52 修正:2014-10-24 04:57
羅州古墳の金銅靴など公開
つま先に龍頭かんざし装飾
靴底には華麗な蓮華模様
装身具・土器類などと共に出土
2号石室墓の入口部構造と出土遺物。 国立羅州文化財研究所提供

 天に舞うための靴だったのか。約1500年ぶりに墓から出た‘金銅靴’のつま先には百済職人がデザインした龍頭が飾られていた。 靴底には光のように伸びたたてがみの中にコミカルに笑う別の龍(あるいは怪獣)の顔が隠れていた。 23日午前、国立羅州(ナジュ)文化財研究所講堂を訪ねた取材陣は、眼前に繰り広げられた金銅靴の中の龍の姿に固唾をのんだ。 金属遺物の専門家イ・ハンサン大田大学教授は「百済の職人たちがたくさんのスケッチを直しながら龍の形状を整える作業光景が目に浮かぶようだ」と話した。

 国立羅州文化財研究所は昨年から調査中の羅州潘南(パンナム)面のジョン村古墳で、国内出土品のうち最も完ぺきな形を維持した百済金銅靴一足と耳飾りなどの金製装身具、馬具、矢筒装飾品、石枕,土器類などを確認したとし、23日現地で遺物を公開した。 古墳は百済・馬韓支配層の墓である羅州伏岩里古墳群(史跡404号)付近の山のふもとにあり、盗掘されていないという。 昨年の調査当時、石室、石椁墓、甕棺など5~6世紀に順次作られた9基の埋葬施設が発見された。

全羅南道羅州潘南面のジョン村古墳から出土した百済金銅靴は、現在までに発見された金銅靴のうち最も完ぺきな形を維持したものと評価されている。つま先部分の龍頭かんざし形装飾が際だって見える。国立羅州文化財研究所提供//ハンギョレ新聞社

 金銅靴が発見されたところは1号石室墓だ。 最大長485センチ、高さ310センチで、馬韓・百済圏の石室墓のうちで最大だ。 金銅靴は長さ32センチ、高さ9センチ、幅9.5センチで片足のつま先部分に龍頭かんざし形の装飾があるが、他の一方は装飾が折れて無くなっていた。 両方とも足首の部位に長靴のような覆いがある。 靴底には華麗な蓮華模様を中心に置き、上下に龍(あるいは怪獣)二頭の顔、たてがみ、忍冬草模様が透し彫りされ、線刻技法が使われている。

 靴の前部に龍頭像を飾ったものは初めて発見された百済の独創的デザインだ。 公州の武寧王陵、高敞の鳳徳里、公州の水村里古墳などで出土した例があるが、装飾がほとんど完全に揃った状態で出てきたのもこれが初めてだ。 イ・ハンサン教授は「古代には龍を横からの姿で主に表現したが、これは口から祥気を吹き出す立体像を表わした。 古代金銅靴工芸の頂点を示す物」と絶賛した。 靴底の蓮華模様は八弁の花びらを三重に置き、中央には花芯まで刻まれている。 カン・スンヒョン国立文化財研究所長は「同時期の中国南北朝時代、仏教寺院の蓮華模様と似ていて、仏教の蓮華往生思想を受け入れたものと見られる」と解説した。 靴底の動物は角があり、下あごが狭く、突き出た牙、開いた目などから龍の顔という見解が有力だ。 キム・ナクチュン全北大学教授は「百済政府が栄山江(ヨンサンガン)地域勢力に懐柔のための下賜品として下した物だったのでは」と推定した。

 他の出土品も目を引いた。典型的な慶尚道の伽耶土器系統の台付直口壺、ラッパ形の注ぎ口に本体に穴をあけた古代日本の須恵器土器(有口広口小壺)が百済式土器類と混じって出土した。 輪付大刀は小さい刀が横に付いた格好で出土した。慶州の新羅古墳で主に確認されており、湖南地域にはない形式なのでなぜ埋められたのか興味深い。 このような様相から見て、墓の主人が栄山江辺に定着した倭系や伽耶系の有力者である可能性があり、韓国と日本の学界の論争の種になるものと見られる。 研究所は石室墓の底部などに対する詳細な調査を続ける計画なので、追加遺物の発掘が期待される。

羅州/ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/661178.html 韓国語原文入力:2014/10/23 21:21
訳J.S(1730字)

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