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「良い映画だから観てあげなければという考えで観たけれど…大当たりだった」

登録:2013-04-28 07:00 修正:2013-04-29 07:30
主人公である精神障害者が床作業をしていて失敗をやらかす映画の一場面。 バリアフリー映画委員会提供

99%の経済
協同組合映画<We Can Do That!>うわさで人気集め

2008年制作のイタリア映画
11人の精神障害者が床を敷く事業を立ち上げる話
組合員6百人規模に成長した
<ノンチェロ協同組合>の実話が土台

「協同組合の本10冊よりましだ」
組合員の心を開いて
信頼を得ていく場面感動
「協同組合がピンと来なければ
この一編の映画がぴったりです」

つまらないだろうという先入観
芸術映画館でも上映してもらえず
"訪ねて行く上映" で糸口
いまでは生協も大きな関心示す

 22日夜ソウル平倉洞(ピョンチャンドン)の希望製作所。 "訪ねて行く映画館" が開かれた。 映画が上映される111分の間ずっと笑いと嘆息が続いたと思ったら、起立拍手がいっせいに起こった。 「<7号房の贈り物>よりはるかにおもしろいです。 最近見た映画のうちでは、内容も感動も最高です。」同僚らと夜遅い時間を共にしたユ・ドンヨル研究員は「 "良い映画だから 観てあげなければ " という考えで見たけれど、大当たりでした」と楽しそうに言った。

 精神障害者の協同組合の話を扱った映画一本が最高の協同組合教科書として浮上している。 協同組合の本場であるイタリアで2008年に制作された<We Can Do That!>だ。 「協同組合というものは、まだ私たちにはなじみが薄いです。 本をいくら読んでもなかなかピンと来ないでしょう。 この映画一本がぴったりです。 私がやっている協同組合アカデミーで上映したんですが、40人の受講生が『どんな名講師よりもましだ』と喜んでいました」(ペ・ミンヘ希望製作所研究員)

共同体上映とは?

 市民団体や官公庁、宗教団体を回って数十人~100人程度の小規模で映画を上映する方式だ。 主に上映館の得にくいドキュメンタリー映画がこのような方式で共同体を回って映画を上映する。 国内の共同体映画上映作品では、日本の総連系学校の子供たちを扱った2006年の<私たちの学校(ウリ ハッキョ)>が最も多い5万人の観客を集めた。 <泣くなトンズ>は共同体と映画館で同時に人気を得たケースだ。 共同体映画は低費用で長期上映という利点がある。 日本では一回上映に最低10万円価格であり、1000回以上上映を記録した映画が少なくない。 国内の共同体映画は1人5000ウォンと見て最低60人を基準に30万ウォンで上映する。

 <We Can Do That!>はイタリアの社会的協同組合である<アンティカ協同組合180>の精神障害者11人が床を敷く事業を立ち上げる話を扱ったものだ。 組合員600人規模に成長した<ノンチェロ協同組合>の実話が土台になった。 自己犠牲が身についている熱情的な協同組合指導者ネロが組合員の心の扉を開いて信頼を得ていく感動的な場面が続く。 ネロはきつい薬物で中毒を起こした精神障害者の隠れた能力を見つけ出すという非常な才能を発揮して、時には友人を脅迫し恋人を説得して仕事を取ってくるという "腕力" も行使する。

ソウル平倉洞(ピョンチャンドン)の希望製作所の研究員たちが22日、イタリアの精神障害者の協同組合を扱った<We Can Do That!> の上映が終わって拍手喝采と歓呼を送っている。 バリアフリー映画委員会提供

 ムン・ソクチン ソウル市西大門(ソデムン)区長は「協同組合員の原則を極めてよく表わした傑作だ。 指導者の役割、組合員の権利、初期販路の確保と関連した複雑なイシューを実に分かりやすくおもしろく説明している。 協同組合をやろうとしている人や協同組合のことを勉強しようとしている人ならば、是非見るべき映画だ」と話した。 映画では精神障害者たちが総会を開いて組合員の意気投合により危機を克服し、「収入は同一に、失敗も皆同一に分ける」という自分たちなりの原則をたてたりもする。<We Can Do That!>はイタリアで最も権威あるゴールデングローブ プロデューサー賞を受賞し、全国の芸術映画館で54週間に40万人の観客を集めた。 日本では厚生省が障害者関連者が必ず見なければならない映画として推薦した。

 「10冊の協同組合の本よりましだ」といううわさが立って、国内でも "共同体上映" を中心に徐々に観客の幅を広げつつある。 協同組合団体や一部地方自治体などで映画を観覧した人々が周囲に知らせる "お勧め" が力になっている。<ハンサルリム> <アイクープ> <トゥレ> <幸福中心>のような生協も大きな関心を見せている。 <アイクープ>では6月中に全国の組合員を対象に地域巡回上映をすることにした。

 <We Can Do That!>を輸入したバリアフリー映画委員会のイ・ウンギョン代表は「芸術映画館でも上映してもらえなかった。 精神障害者と協同組合を扱ったイタリア映画と言うので、面白くないだろうという先入観を持たれたようだ。 それで数十人単位で訪ねて行く "共同体上映" を始めたが、期待以上に熱い反応が得られた」と話した。 希望製作所のペ研究員は「協同組合がなじみの薄い主題なので芸術映画館側が "判断ミス" をしたようだ。 作品性と感動の要素が充分なうえに協同組合への関心が高まっていて、大いに大衆的人気を集めるだろうと期待している」と語った。 ソウル型社会的企業であるバリアフリー映画委員会では今月初め釜山(プサン)を皮切りに全国各地で小規模試写会を開く計画をたてている。 「障壁をなくす」という意味のバリアフリー映画は、声優が言葉で説明したり音声要素を字幕で処理する方式で映画を再編集する。 2011年以後<7号房の贈り物> <エンディングノート> <泥棒たち>等、全11編のバリアフリー映画を障害者用に制作した。 イ代表は「危うく無関心の中に埋もれてしまうところだった作品が、協同組合への高い関心と出会って真価を認められたようだ。 予算がなくて<We Can Do That!>のバリアフリー映画を制作できなかったが、急いで作らなければならないようだ。 韓国の障害者も映画の主人公のように協同組合を作るという夢を持てたらいいと思う」と語った。

キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/584592.html 韓国語原文入力:2013/04/26 11:40
訳A.K(2782字)

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