"胸が痛んで苦しかったが、その一方では辛いには私たちだけではない、痛みを踏み越えて生きていこうという希望も含まれていた。" 映画<レ・ミゼラブル>を去る19日観覧した就職活動学生チョン・サンヒ(26)氏は映画から痛みと希望を同時に感じたと話した。
映画<レ・ミゼラブル>(トム・フーパー監督)が封切り8日目の26日に観客200万人を突破して歳末最高の話題作になっている。 13日に封切りしたもう一つの米国ハリウッドの大作<ホビット:思いがけない冒険>が12日目で200万人を超えたのに比べてもはるかに急な人気興行だ。
<レ・ミゼラブル>はフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を原作にして英国のミュージカル製作者キャメロン マッキントッシュが1985年に製作・初演した後27年間興行してきたミュージカルをハリウッド資本でスクリーンに移したミュージカル映画だ。 パン一切れを盗んだ罪で19年間獄中生活をしたジャン・バルジャン(ヒュー ジャックマン)と貧困のために悲劇的生活を送るファンティーヌ(アン ハサウェイ)等が中心人物だ。 フランス大革命以後にも民衆の暮らしはみじめなばかりだった19世紀前半のフランス、パリを背景として、若い革命家マリウス(エディ レッドメイン)をはじめとする学生運動家の話をもう一つの軸として展開する。 原作を忠実に生かした今回の<レ・ミゼラブル>はジャン・バルジャンとファンティーヌなど主人公の一生だけでなく、バリケードを積んで抵抗する革命の気勢もそのままに表わした。
映画は幅広い観客層の呼応を得ている。 大学院生イ・ジェウク(26)氏は「革命は失敗するが、戦う人々は常にいて、いつかは勝利できるだろうというメッセージを見た」と話した。 主婦キム・ヘヨン(52)氏は「ジャン・バルジャンが見せる容赦と愛という人間愛に感動を受けた」と話した。
<レ・ミゼラブル>の主な人気要因を大統領選挙後に失望に陥った人々を慰める‘ヒーリング’に求める見解も多い。 チョン・ジウク映画評論家は「大統領選挙以後いわゆるメンタル崩壊に陥った人々が絶望の中で希望を歌って画面のスペクタクルと荘重な音楽を備えたミュージカル映画を通じて‘知的ヒーリング、文化ヒーリング’をしているようだ」と話した。 配給会社側もヒーリングの力を挙げた。 ユニバーサルピクチャーズ インターナショナル(UPI)コリア関係者は 「選挙イシューと合致しながら一部観客には‘集団ヒーリング’の役割をしているようだ」と話した。
子供らと共にスクリーンを通じてフランス文豪の古典作品を享有しようという家族観客も多い。 <レ・ミゼラブル>を一緒に観る‘文化忘年会’を開く会社員も出てきている。 フェイスブック・ツイッターでうわさが広がり2~3回観る観客も多いという。 配給会社側は「映画の主観覧層である20~30代層が封切り序盤に大挙して劇場を訪れ、選挙日とクリスマスなど休日好材料が重なったうえに、映画の内容が選挙結果に心が痛んだ人々を慰めるという噂が広がっている」と話した。 マーケティング広報社レモンツリーのパク・ジュソク室長は<レ・ミゼラブル>が2008年に453万人を集めた<マンマミーア!>を超えてミュージカル映画としては国内最高興行作になるだろうと語った。
原作小説も飛ぶように売れている。 映画封切りに合わせて<レ・ミゼラブル>(全5巻)を世界文学全集版で出した出版社民音社側は「映画評が良くて封切り前から旋風が起こった。 封切り直前に3万5000部が売れ、封切り後1週間で3万部があっという間に出て行った」と話した。
パク・ポミ記者 bomi@hani.co.kr