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[特派員コラム] 韓国はうらやましくない

原文入力:2010-12-16午後08:18:59(1698字)

チョン・ナムグ記者

←チョン・ナムグ東京特派員

日本はまさに‘停滞社会’だ。 物価水準も労働者の給与水準も20年前とほとんど差がない。<日本経済新聞>が最近 大企業625社の今年末賞与金を集計したところ、20年前とほとんど同じ1人当り平均71万8986円だったという。そのような日本から見れば、年間6%も成長し うまく行っているという韓国経済には何かすごみがあるように見える。
日本財界は韓国の低い法人税を称える。韓国の法人税実効税率は24.2%で、40.69%の日本のほとんど半分だ。韓国は盧武鉉政府の時に法人税を引き下げ、李明博政府になり再び大きく下げた。その結果、香港、シンガポール、アイルランドを除けば世界最低水準となった。それにより企業投資が大きく膨らんだかは疑わしいが、利潤が大きく増えたことは事実だ。反面、政府の財政余力は大きく萎縮し、福祉財政は縮んでいる。

財界の圧力に押され菅直人日本総理も決断した。来年、法人税実効税率を40%から35%に下げることにした。税収減少額は1兆5000億円ほどだ。財政不足のために子供手当て(月2万6000円)全額支給をあきらめた時に、財政赤字はより大きくなった。減税をすれば企業が投資と雇用を増やすという保障はもちろんない。政府内では「企業から覚書でももらっておかざるをえないのではないか」という話が出ている。

日本財界は韓国が米国、ヨーロッパ連合と自由貿易協定を締結し輸出市場の競争条件ではるか先んじているとも賞賛する。菅総理は米国とオーストラリアなどが主導する環太平洋経済パートナー協定(TPP)参加を議論する意向を明らかにした。韓国およびヨーロッパ連合との経済協力協定(EPA)交渉も提案した。関税撤廃を通じた輸出増大は競争力の低い自国産業の犠牲を前提とするものだ。韓国はこの間、それを完全に無視し、日本は過度に意識した。菅総理が‘第3の開国’を宣言したことに対し、閣僚らもひたすら手をたたくだけではない。その副作用は相変らず心配の種だ。

事実、日本の財界はこの頃 韓国経済がうまく行く理由が‘ウォン安、円高’のためだということをよく知っている。2008年世界金融危機前に100円当り760ウォン程だったウォン-円為替レートは今年11月は平均1366ウォンだ。それでも、それは差し置いて韓国を熱心に賞めるのは、法人税を低くして自由貿易協定に出るよう日本政府を導いていくためだ。円高の悪条件の中でも現在、トヨタ・本田・日産3社の米国市場占有率は33.5%であり、現代車グループは7.8%だ。日本財界の韓国称賛はオーバーな表現に近い。

普通の日本人は韓国経済をどのように見ているだろうか? 去る8月<MHK>放送が韓-日強制併合100年をむかえて準備した両国の若者たちの討論会で、韓国は非正規職が全体労働者の半分で、貧困人口が増加していて、自殺率が世界1位という指摘が出た。雰囲気がガラッと変わった。法人税引き下げや市場開放は競争力向上のための妙手ではない。ただ操り上げて使う借金のようなものだ。韓国はその後始末をしない。ある日本人ジャーナリストは日本企業に比べ、はるかに低い三星職員の平均年齢の話をしながら‘韓国は速度だけは速い’と話した。高速道路でよく見る標語を思い出す。

韓国の経済政策決定者らは相変らず‘経済成長’を最高の目標としている。大きな危機を体験する度に、なおさらそのような声が大きくなった。その度に大企業の利益は階段式に急増したりした。2000年に30兆ウォンに少し足りなかった我が国上場企業の営業利益が、今年は93兆ウォンに達するという。しかしその影は長く濃い。20年の停滞を体験した日本人たちが韓国を全く羨まない理由だ。

チョン・ナムグ東京特派員 jeje@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/454220.html 訳J.S