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[寄稿]「戦時作戦統制権返還」急ぐべき理由

登録:2020-09-29 02:53 修正:2020-10-02 05:20

 今年は「国軍の日」が72周年を迎える年であり、戦時作戦統制権(戦作権)を米国に移譲してから70年となる年だ。2014年に韓米政府は、(1)韓国軍の連合防衛を主導しうる主要な軍事能力の確保、(2)北朝鮮の核とミサイルの脅威に備える初期必須対応能力の整備、(3)安定的な戦作権返還に見合う朝鮮半島および地域の安保環境の管理という3つの戦作権返還条件に合意し、第1段階の基本運用能力(IOC)、第2段階の完全運用能力(FOC)、第3段階の完全任務能力(FMC)の検証と評価の手続きを進めている。2019年後半には、韓米連合指揮所訓練(CCPT)でIOCの検証と評価を終えている。今年後半の訓練では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によってFOCの検証と評価が一部しか行われないことから、文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期内に戦作権を返還されるのが難しくなるという懸念が提起されている。

 戦作権返還は、憲法の精神を具現し、高まった韓国の国格と地位を確認する時代的要求であり、韓国軍のパラダイムを転換しうる契機となるものであり、次の3つの理由から、できるだけ早く返還されなければならない。

 第一に、戦作権返還は、憲法第74条の大統領の国軍統帥権行使を保障する、譲歩できない主権事項であることを認識する時期となっていること。1950年7月14日に李承晩(イ・スンマン)大統領がたった1通の手紙で戦作権を移譲したのは、戦時という危機状況下における国難克服のための不可避かつ臨時の措置だった。国家間の条約締結や国会批准はなかった。したがって、国内法と国際法に合致するよう、再確立する時期となっている。戦作権は憲法上の主権事項であり、いかなる譲歩もあってはならないということを明確に認識しなければならない。

 第二に、韓国の国力は2006年の最初の戦作権返還合意当時より飛躍的に高まっており、これにふさわしいものとするためには戦作権の返還を受けるべきであること。2006年と2020年の国力を比較すると、現在は世界で10~12位圏の経済力と世界6位の軍事力、K-POP、K-防疫などに代表される中堅大国となっている。韓国軍も、韓国の国格と地位にふさわしい先進民主国軍へと飛躍するために、軽空母、4000トン級潜水艦、軍事用偵察衛星などの先端戦力の確保を進めている。すなわち、戦作権が返還されることで、韓国は国益を保障するために朝鮮半島と北東アジアの安保環境の変化に能動的に備え、韓米も共同の利益のために、より高次元の同盟関係へと発展していくだろう。

 第三に、戦作権返還のための条件と手続きの段階は、返還のための前提条件ではなく確認事項なので、不十分なら返還後に補完して発展させてもよいだろうということ。2006年に韓米安保協議(SCM)で戦作権返還に合意した当時、米軍は韓米連合軍が世界最強であることを認めるとともに相互認識しており、1978年に韓米連合司令部が創設されて40年以上が経った今、韓米連合軍は世界のどの同盟の軍隊よりも堅固で鉄のような同盟体制を維持している。戦作権返還条件は、返還後に韓米間でさらに発展させていくべき同盟の課題であり、韓米間でさらに緊密に協力すべき事案だ。1994年の平時作戦統制権返還の際にも、連合権限委任事項(CODA)という条件付きで返還されている。したがって、まず政府の日程に合わせて戦作権を返還し、不十分な分野があれば、平時作戦統制権返還の例と同様に、一定の条件の下で「条件付き戦作権返還」を進めても問題はないはずである。

//ハンギョレ新聞社

ソン・ヨンム|元国防部長官 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/963952.html韓国語原文入力:2020-09-28 17:17
訳D.K

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