韓国国防部と国連軍司令部が、戦時作戦統制権(戦作権)の移管後、米国が主導する国連軍司令部の地位および役割をめぐる意見の相違を調整するため、高官級協議に入った。韓米は最近実施された指揮所演習で、戦作権の移管以降における国連軍司令部の朝鮮半島危機管理への参加と、韓国軍の大将が司令官を務めるいわゆる未来連合司令部に対する「指揮権」の有無について、討論を行ったという。
チェ・ヒョンス国防部報道官は17日、「国防部政策室長が最近、国連軍司令部副司令官と会談し、国連軍司令部と関連した諸事案について意見を交換した」と明らかにした。チェ報道官は「国連軍司令部は国連安全保障理事会の決議と停戦協定に基づき、停戦協定の履行・順守および有事の際に韓米連合軍司令部に戦力を提供する役割を果たす」とし、「これに関連して意見交換を行った」と説明した。具体的な内容は明らかにしなかったものの、国連軍司令部の役割をめぐる最近の論議まで包括する協議が行われたことを示唆した。
国防部が国連軍司令部と高官級協議に乗り出したのは、米国側が国連軍司令部を韓国軍に対する統制機関へと発展させようとしているという懸念が高まっているためと見られる。戦作権の移管後に朝鮮半島で戦争が勃発した際、国連軍司令部がこれを停戦協定の破棄ではなく違反と見なした場合は、韓国軍が主導する未来連合司令部の作戦権が無用の長物になる恐れがある。1978年の韓米連合司令部創設当時に締結された「合同参謀本部-国連軍司令部-連合軍司令部の関係約定」(TOR)には、韓米連合軍司令部は休戦協定を維持するための国連軍司令部の要請や権限に従わなければならないという条項が含まれているという。
最近、国連軍司令部が、在韓米軍司令部の将軍が兼任してきた副司令官にカナダ軍の将軍に続きオーストラリア軍の将軍を任命し、参謀長に在韓米軍司令部所属でない米軍少将を配置した状況も注目される。米国が在韓米軍司令部と国連司令部を分離し、国連軍司令部を韓国軍を統制する多国籍軍事機構への変貌を図っているという懸念が高まるのも、そのためだ。米国は最近、在韓米軍司令部が発行した「2019戦力ダイジェスト」韓国語版で、日本との戦力協力を強化する方針を明らかにし、「国連軍司令部への戦力提供国」に日本を入れようとしているという議論を巻き起こした。
国防部と国連軍司令部は、高官級協議を制度化することに共感したという。国防部関係者は「国連軍司令部とは9・19軍事合意の履行などに関しても意見交換が必要な事案が多い」とし、「高官級の枠組みでこのような問題を協議する方式についても、ある程度意見の一致を見たと聞いている」と述べた。