チュ・ミエ法務部長官が2日、捜査指揮権を発動し、「検察とマスコミの癒着」事件に対する専門捜査諮問団(諮問団)手続きを中止するよう、ユン・ソクヨル検察総長(日本の検事総長に当たる)に指示した。チュ長官は、ユン総長が同事件から手を引き、捜査結果だけ報告を受けることも指示した。ユン総長が側近のハン・ドンフン検事長を庇護するため、無理筋を通そうとしているという内外の批判と、チュ長官の相次ぐ警告メッセージにもかかわらず、諮問団の招集を強行する姿勢を崩さなかったことを受け、長官として法的な権限行使に乗り出したのだ。法務部長官の捜査指揮権発動は2005年以来15年ぶりのことで異例の措置だが、ユン総長が自ら招いた側面が強い。
チュ長官が捜査指揮の根拠として挙げた内容は、すでに数回指摘されている。ハン・ドンフン検事長が召喚調査と携帯電話のフォレンジックに応じないなど、捜査がまともに行われていない状況で、諮問団が捜査の妥当性を審議すること自体が理屈に合わない。諮問団の招集決定と団員を選ぶ過程における不公正性などを考慮すれば、諮問団の召集はさらに正当性を得られない。事件初期からのユン総長の度重なる不当な干渉に対し、ソウル中央地検が先月30日、抗命に近い異議申し立てをしており、このような衝突状況についてチュ長官が1日、国会で謝罪発言までした。ここまで来れば、ユン総長が自ら諮問団の招集を取りやめるべきだった。
法務部長官の捜査指揮権の発動を検察は恥辱と受け止めている。2005年、チョン・ジョンベ長官が国家保安法違反の容疑で捜査を受けたカン・ジョング教授を不拘束捜査するよう指揮した際、キム・ジョンビン検察総長が抗議の意味で辞任したこともある。しかし、今回の事案は様々な面で当時と異なる。今回、指揮権発動の対象になったのは一般事件ではなく、検察内部の不正疑惑捜査だ。検察総長が側近関連の事件に不当に介入したと疑われる状況で、長官の指揮以外はそれを牽制する装置がない。また、前回は捜査チームの意志に反する指揮権の行使だったが、今回は第一線の捜査チームを後押しするためのものだ。
検察の独立性は守るべき価値であり、具体的な事件に対する長官の指揮はできるだけ控えなければならない。しかし長官の指揮権は、選出されたものではない権力である検察が正しい道から外れた場合、それを民主的に統制する唯一の手段でもある。独立性を理由に検察が制限のない権限を享受すれば、「国民の上に君臨する権力」になる恐れがある。
ユン総長はひとまず、3日に予定されていた諮問団召集の手続きを中止し、全国検事長会議を開いて捜査指揮の受け入れに関する意見を集めることにした。今回の捜査指揮権の発動の性格からして、検察組織が動揺したり反発する理由はない。過去の事例のように総長の進退問題にまで広がる事案でもないだろう。ユン総長は、長官の指揮どおり捜査チームの独立性を保障し、捜査結果によって公正な処分を下してほしい。今回のことを機に、検察内部の不正疑惑が浮き彫りになった際の対処法も見直して規範化する必要がある。