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低所得層の43%が「70歳以上の高齢者世帯」

登録:2019-10-10 05:50 修正:2019-10-10 07:25
資料写真//ハンギョレ新聞社

 所得下位20%の低所得層世帯主のうち70歳以上の高齢者の割合が40%を超えたことが分かった。高齢化が急速に進み、労働市場の外に押し出された高齢者が低所得層に多く流れ込んだ結果だ。所得階層間の格差を縮めるためには、高齢者世帯の特性に合った所得保障体系を打ち立てるべきと指摘されている。

 9日、共に民主党のキム・ギョンヒョプ議員が統計庁の家計動向調査資料(2003~2019年)をもとに分析した所得別の世帯主の状況によると、所得下位20%に占める70歳以上の世帯主の割合は、今年第2四半期現在43.4%だった。全国の世帯を対象に統計を取り始めた2003年当初は13.7%で、16年間で29.7%ポイント増えた。一方、同期間の全世帯における70歳以上の世帯主の割合は3.6%から13.8%へと10.2%ポイント増えた。所得上位20%の中では、70歳以上の世帯主の割合は0.4%から2.6%へと2.2%ポイントしか増えていない。高齢化で増えた高齢者世帯主が低所得層に集中しているかたちだ。

 世帯当たりの平均就業者数も、所得下位20%では2003年の0.78人から2019年の0.68人へと0.1人減った。一方、所得上位20%では、同期間で1.82人から2.1人へと0.28人増えた。キム・ギョンヒョプ議員は「高齢化と就業可能人口の減少が所得最下位層に集中しており、その層に合わせた高齢者雇用拡大と雇用セーフティーネット強化のための財政拡大が急務」と語った。

 高齢者の貧困は高齢化にともなう1人世帯の増加など、世帯分化の影響も受ける。ソウル大学のク・インフェ教授(社会福祉学)は今月5月『保健福祉フォーラム』への寄稿文「所得保障分野の政策課題と推進戦略」において、「産業化が進むにつれ子と同居する高齢者の割合が大幅に減り、家族内の分配機能が弱体化した」とし、「私的扶養が急速に解体される過程で公的扶養体系が定着しなかったことが、高齢者の貧困の増加や所得不平等の拡大に影響を及ぼした」と分析している。ク教授は、高齢者の貧困の解消のため、高齢者対象の生計給付金から扶養義務者基準を廃止するなど基礎生活保障制度を改善し、基礎年金の拡大などの老後所得保障制度を強化する案などを提示している。これとともに、高齢者を実際に扶養する世帯に対する人的控除や勤労奨励金支給の強化なども政策案として挙げられている。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/912641.html韓国語原文入力: 2019-10-09 21:04
訳D.K

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