文在寅(ムン・ジェイン)大統領は27日、南北首脳会談で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に板門店(パンムンジョム)の南北常設連絡事務所設置を提案すると見られる。また、非武装地帯(DMZ)の実質的非武装化の問題も首脳会談で議論されると見込まれている。南北がこの問題で合意すれば、文大統領が予告している南北首脳会談の主要議題の中で「南北関係の改善」の分野から具体的成果を得られるため注目されている。
南北連絡事務所は、1992年の盧泰愚(ノ・テウ)政権時の南北合意によって板門店に設置されたものの、実質的機能ができないまま有名無実化した。今回の会談で連絡事務所の設置が合意されるならば、過去の南北連絡事務所を復元させるだけでなく、2005~2010年に開城(ケソン)工業団地で運用していた南北経済協力協議事務所を拡大した形になる可能性が高い。南北関係者が一つの建物で働き交流できるようになるという点から、南北関係の発展に画期的な意味を持つ。また、会談の進展によっては、南北がソウルと平壌(ピョンヤン)に常駐連絡事務所を設置する次の段階に進むステップの役割も果たすことになる。文大統領は今回の首脳会談で「首脳会談の定例化」を引き出すという構想をしていると思われる。今回の会談でこの議題が合意する可能性は低くない。そうなると、板門店の常設連絡事務所は首脳会談定例化のための窓口として使われるはずだ。
非武装地帯の実質的非武装化も南北緊張緩和に関連して重要な議題であることは同じだ。非武装地帯は停戦協定により武装が許されていないエリアだが、実際には武器と装備が集まり南北衝突の可能性は高い。南北の緊張緩和を成し遂げるには、非武装地帯の実質的非武装化が実現されなければならないのは当然のことだ。今回の首脳会談で停戦協定に見合うように軍と兵器、装備を全て撤収する非武装化の合意を直接引き出せるならば最良だ。さまざまな事情のためそこまで進めるのが難しければ、ひとまず非武装地帯の非武装化という大きな枠組みの合意をし、南北共同の山火事の鎮火や平和公園の造成のような非武装地帯の平和的共同利用から進めていくのもいいだろう。
今回の首脳会談は朝鮮半島の非核化が最も大きな議題で、南北の関係改善の議論は相対的に制約が多い。しかし、今回議論される議題は国際社会の制裁に触れない分野なので、南北がその気になれば合意を導き出すのに大きな困難はない。南北首脳が知恵と勇気を発揮し、南北関係の発展にはっきりと足跡を残す成果が得られることを期待する。