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[コラム]“セミファシズム”朴槿恵政権の暴走

登録:2015-12-16 23:16 修正:2015-12-19 18:32

 これらの数字を頭に入れておけば色々と役に立つ。 それぞれの数字に10を加えると0~9歳から10歳単位の人口比率が出てくる。 つまり0~9歳は全人口の9%、50~59歳は16%、60歳以上は18%になる。10年前は「2、4、6、8、7、1、3」だった。 その後20~30代の人口が34%から28%に6%p減って、50歳以上が24%から34%に何と10%pも増えた。

 人口分布は経済・社会だけでなくますます政治の核心要素になっている。 朴槿恵(パク・クネ)大統領の職務遂行に対する国民の肯定率は40%台初中盤、否定率は40%台中後半で固まった状態だ。 さらに注視すべきは年齢帯別格差だ。 50歳以上の概略70%が朴大統領を支持している一方、20~30代は70%以上が反対している。 40代は20~30代側に近い。 年齢により支持度がこれほど差が出る大統領は初めてだ。 高齢の人々の支持で支えられる“高齢者政権”と言っても良い。

 世界的にファシズムの影が出だしている。 米共和党の有力な大統領候補ドナルド・トランプが露骨に「ムスリムの米国入国を禁止しなければならない」と言ってから、むしろ支持率が上がった。 世界の人口の20%以上に対して“排除的暴力”を行使するという発想自体がファシズムだ。 フランスの地方選挙第1回投票では極右の国民戦線が支持率1位を占めた。 もちろん国民戦線が第2回決選投票で敗北したように、米国人もトランプを選択しはしないと信じる。

 他国の心配をしている場合ではない。 朴槿恵政権がますますファシズム色を強めているためだ。 ファシズムは「大衆の支持を背に負った国家主義(民族主義)過激派勢力(政党)が伝統的なエリート層と不本意ながら効果的な関係を結び、民主主義的自由を放棄して倫理的・法的制約を受けずに暴力を行使して、内部浄化と外部的膨張という目標を追求する政治的行動の一形態」だ。 法治の皮をかぶってはいるが事実上民主主義を蔑視してゴリ押しと抑圧を好む朴槿恵政権は、それに半分ぐらい該当する“セミファシズム”政権だ。 危機意識と恐怖を喚起して大衆の不安を助長し、権力集中を追求していることも一致する。 嘘と工作も繰り返し行う。

 朴槿恵政権はイデオロギー機構、公安機関、政府系団体を積極的に活用する。 報道機関や研究・文化・学術機関などイデオロギー機構はすでに多数が政権に掌握されている。 一部の総合編成チャンネル(保守紙系ケーブルテレビ)と大型教会のように自発的に協力する所も少なくない。 2年前に検察総長が工作により追い出された後、検察は公安論理を強化してきたし、警察も同様だ。 いくつかの政府系団体は物理力の提供に加え、一層強硬な方向で道を整えている。

 朴大統領の話は激しくなるほど空虚だ。 自身だけについてくれば、すべての問題が解決されるという呪術に近い。 労働権を弱化させるいわゆる労働改革法案を「仕事をくれという青年たちの絶叫」につなげ、コメント工作をした国家情報院の権限を強化しなければテロに対応できないと強弁する。 韓国史教科書の国定化という“歴史テロ”は“内部浄化”を越え“統一対備”手段として称賛される。 他国の極右勢力が永く試みてもできなかったことを、彼女は短時間でやり遂げている。 その結果、正体不明の“創造経済”に続き、維新体制を模倣したおかしな“創造政治”が創造されている。

キム・ジソク論説委員 //ハンギョレ新聞社

 19日は朴大統領が大統領選挙で勝利してから3周年になる日だ。当時の彼女の姿から今の彼女を予想した国民は多くないだろう。 現政権の主要な支持基盤は今後も高齢層にならざるをえない。 彼らは権威主義に対する拒否感が少なく、位階秩序を好む傾向がある。 その上、選挙での凝集力が高い。 野党分裂が可視化して与党が来年4月の総選挙で勝つ可能性はさらに大きくなっている。 今後、ファシズム的形態は一層深刻になるだろう。 トランプや国民戦線が執権する場合を想像してみれば良い。

キム・ジソク論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/722243.html 韓国語原文入力:2015-12-16 20:29
訳J.S(1823字)

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