20日、仁川(インチョン)国際空港第1旅客ターミナル。この日、4階の航空雇用センターには、ベトナム出身労働者トゥアンさん(23歳)への献花室が設けられた。トゥアンさんは今月10日午前2時40分ごろ、京畿道利川市(イチョンシ)の砂利加工工場で、点検していたベルトコンベアに挟まれ死亡した。トゥアンさんの遺族を支援する移住労働団体「塩の花の木」で活動するイ・ヨンドクさんは、「トゥアンさんの英雄であるパク・ハンソ(サッカーのベトナム国家代表チーム元監督)の国を遺体となって去ることになった」として、「誰も死ぬために韓国に来る人はいない」と述べた。
前日に葬儀を終えたトゥアンさんの遺骨はこの日午後6時10分にベトナムへと帰る。ベトナム人コミュニティーのウォン・オックム代表と、遺族の代理人を務め、塩の花の木の労務士でもあるチャン・ヘジンさんが、ベトナムのトゥアンさんの故郷に出向き、遺族に韓国の状況を説明するとともに、遺族に弔意を伝える。幼い頃からトゥアンさんと親しかったビエットさん(仮名、34)も2人に同行する。ベトナムではトゥアンさんの両親と5人の弟妹が、葬儀を執り行うためにトゥアンさんの帰りを待っている。
トゥアンさんの遺骨と知人、活動家らは、航空雇用センターに設けられた献花室で時を過ごした。勤労福祉公団と仁川国際空港は昨年4月に業務協約を結び、労働災害の犠牲者に敬意を示し、遺族に便宜を提供するため、空港内に場所を設けた。トゥアンさんの献花室設置は、業務協約締結後に実際に支援が行われた初めての例。
この日は勤労福祉公団のパク・チョンギル理事長も献花室を訪れた。職員からの弔慰金を手渡したパク理事長は、「本日、私たちは遠い異国で夢を抱いて生きた故人を悼み、この場に立った」、「故人は家族のために不慣れな環境の中でも誠実に生きてこられ、その人生には深い責任と献身が染み込んでいた。勤労福祉公団と大韓民国は、その大切な努力と足跡を決して忘れない」と語った。
これまで労災で外国からの移住民が死亡した際には、遺体の搬送などに大きな困難があった。とりわけ空港では、複雑な遺体の輸送過程の担当者も見つけるのが難しかった。このような困難のせいで、家族が遺体を放棄し、「無縁死」として処理されるケースもあった。労務士のチャン・ヘジンさんは勤労福祉公団に「厳粛な場が設けられたことに感謝する」、「生きている間にトゥアンさんが大韓民国でこのように温かく迎え入れられいたらどれほどよかったか、そんな思いがよぎった」と語った。
一方、勤労福祉公団は、移住労働者の葬祭費用などに関する制度の改善も検討することを表明した。パク理事長は「これまで葬儀費用は国内労働者を中心に支援してきたが、外国人労働者には異なるサービスや便益が必要だと感じた」、「制度的に改善すべき部分があるかどうか考えてみたい」と語った。