北朝鮮が今年3月の改憲で、南北が完全に別の国家となったことを示す「領土条項」を新設し、旧憲法に記されていた「統一条項」を削除していたことが確認された。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が2023年末に、南北は「もはや同族関係ではない」として、「二国家」に初めて言及してから2年あまりで、自分たちの国家アイデンティティーを示す最高文書である憲法にそれを反映していたことが分かる。北朝鮮が南北の絶縁を意味する「存在論的決断」を下したことによって、韓国もこれまで一貫して推進してきた統一を前提とした対北朝鮮政策を維持すべきか、苦悩せざるを得ない状況に追い込まれた。北朝鮮が新憲法で「敵対的」という表現を用いていないことに留意しつつ、南北が平和に共存しうる方策について真剣に検討を始めるべきだ。
6日の統一部の記者懇談会で、北朝鮮が3月末の最高人民会議で改正した新憲法の全文が公開された。第2条は新たに、自国の領域は北は中ロ、南は「大韓民国と接している領土」だとしており、旧憲法第9条にあった「祖国統一を実現するために闘う」という条項は削除されている。同時に「北半部」、「祖国統一」、「社会主義の完全な勝利」など、統一を連想させるその他の表現も、跡形もなく削除されている。核に関しては、2022年9月に公表された核ドクトリンを反映し、「核武力に対する指揮権は国務委員会委員長にある」(第89条)としている。ただし、韓国を「敵対国」と宣言する記述はない。
これによって、北朝鮮が分断直後に「民主基地論」などを掲げ、同族相争う悲劇さえも引き起こしながら実現しようとしていた統一という目標を放棄し、韓国と絶縁するという決断を下したことがはっきりした。問題は韓国の対応だ。北が新憲法で「敵対的」という表現を用いていないのだから、韓国も「二国家」関係への転換を受け入れれば、南北は国と国との「正常な外交関係」を築く基盤ができる。同時に、南北が1991年末の基本合意書で確認した「統一を目指す過程で暫定的に形成される特別関係」という概念は、廃棄される運命にある。
ただし、これは韓国の国家アイデンティティーにかかわる極めて重要な問題であるため、安易に結論を出すのは難しい。いちど方向性を決めてしまうと変更が難しいだけでなく、深刻な韓国内での対立が生じる可能性がある。時代の変化にふさわしい望ましい南北関係とはどのようなものなのかを絶えず自問しつつ、ゆっくりであっても確実に私たちの共同体の総意を作り上げていかなければならない。