李在明(イ・ジェミョン)政権の第1期外交・安保チームが陣容を整えつつある。李在明大統領は、大統領就任当日の今月4日にイ・ジョンソク国家情報院長候補とウィ・ソンラク安保室長の任命を自ら発表しているが、統一部、外交部、国防部の長官も、公に発表していないだけで、事実上確定段階にある。
10日、政府と与党「共に民主党」に対する取材内容などを総合すると、統一部長官には民主党のチョン・ドンヨン議員(当選5回)、外交部長官にはチョ・ヒョン元国連大使、国防部長官には元国防委員長の民主党のアン・ギュベク議員(当選5回)が確定的だ。いずれも李大統領と長きにわたって活動を共にしてきた人物だ。政権発足初期によく見られる破格の起用ではなく、国政の安定に主眼を置いた布陣だ。トランプ大統領のしかけた関税戦争を含む当面の米中戦略・覇権競争と地政学的対立にひとまず対応しつつ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代に揺らいだ韓国の外交・安全保障の力量を回復させることに焦点を合わせた「危機対応型の人選」に近いと評される。
外交の2大軸である安保室長と外交部長官を務める「ウィ・ソンラク-チョ・ヒョン」のコンビは、外務公務員試験の第13期の同期で、円満な関係を結んでいることで知られる。ウィ室長が対米外交と北朝鮮核問題外交で主に経験を積んだとすれば、チョ元大使は多国間・通商外交の領域で経歴を重ねてきた。補完効果を期待した人選であることが読み取れる。外交部の第1、第2次官を務めたチョ元大使は、外交部国際経済局長と多国間外交調整官を務めた経験もある。通商が安全保障の武器となっているという時代の潮流にあって、チョ元大使のこのような経歴は「加算点」となったと言われる。
統一部長官候補のチョン・ドンヨン議員とイ・ジョンソク国情院長候補は、直通連絡線すら断たれ「関係ゼロ」となっている南北関係の活路を切り開くという使命が課せられている。チョン議員とイ候補は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、統一部長官兼国家安全保障会議(NSC)常任委員長とNSC事務次長として協働していた際に、2005年の6カ国協議での共同声明(9・19共同声明)と2007年の第2回南北首脳会談への道を切り開いた経験を持つ。李大統領は「チョン・ドンヨン-イ・ジョンソク」コンビに、盧武鉉政権時代のような「北朝鮮に対する突破力」を期待しているという。
ただし、イ候補の任務は北朝鮮との関係に限定されない見通しだ。李大統領は今月4日、イ候補を自ら紹介しつつ、「通商の荒波の中で国益を守り抜く適任者」と評している。イ候補が国情院の組織力を最大限活用し、北朝鮮との関係だけでなく外交、通商、安保の全分野にわたって「見えないところ」で動く可能性は高いとみられる。
当初、安保室長または外交部長官の候補として有力視されていたキム・ヒョンジョン元通商交渉本部長は、「外交安保特別補佐官」に任じられるとみられる。李大統領がこのような選択をしたのは、通商に対するキム元本部長の専門性と特有の「突破力」を同時に考慮したためとみられる。
李大統領は、大統領選挙期間中に「民間人出身の国防長官」の必要性を強調してきた通り、最初の国防長官候補にアン・ギュベク議員を事実上選んだという。アン議員は当選5回の議員で、政治力と国防分野の専門性を兼ね備えていると評価されている。アン議員は短期兵(防衛)出身で、一等兵として軍服務を終えている。同氏は2008年から議政活動を開始し、国会国防委員会で14年ほど活動している。第20代国会では国防委員長を務め、民間人出身者では珍しく「国防通」と呼ばれる。李大統領の信任も厚いことで知られる。