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【社説】「国益中心の実用外交」初めて試される李大統領

登録:2025-06-09 22:20 修正:2025-06-10 07:17
李在明大統領が6日夜、ソウル漢南洞の官邸で、米国のトランプ大統領に電話するために受話器を手にしている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 李在明(イ・ジェミョン)大統領が今月15~17日にカナダで行われる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)に招かれ出席することを、大統領室が7日に発表した。4日に就任した李大統領の初の多国間外交の舞台であり、12・3非常戒厳から半年間も止まっていた大韓民国の首脳外交を再稼動する重大な転換点だ。李大統領は、6日夜には米国のトランプ大統領と電話会談を行い、外交正常化の開始を告げた。

 G7サミットは米国、英国、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの西側中心の7カ国の集まりだ。李大統領はこれにオブザーバー国の資格で出席し、主な首脳たちと二国間および多国間会談を行うことで「国益中心の実用外交」に乗り出す。

 最も注目されるのは、韓米首脳の初対面だ。G7サミットを機として韓米首脳会談が行われれば、関税交渉などの両国の敏感な懸案について大まかな方向性を設定する重要な契機となる。トランプ政権が予告した相互関税の猶予の終了が来月9日に迫っている。在韓米軍の防衛費分担金の引き上げや中国けん制用への役割の転換、韓国国防費の増額要求など、トランプ政権の激しい圧力が現実のものとなるという観測も強まっている。韓国の経済と安保に直結する事案であるだけに、李大統領は緻密な対策を立てることが必要だ。トランプ大統領の即興的で向こう見ずな話し方をも考慮した繊細な戦略を立てるべきだろう。

 米中戦略競争が激化する中、米中の間で均衡点を見出すことは、李大統領の高難度の課題だ。ホワイトハウスの関係者は李大統領の当選について、「米国は、中国が全世界の民主主義国に干渉し影響力を行使することを懸念し、反対する」という論評を発表し、中国によりいっそう敏感になっている空気と韓中関係に対する疑念を同時に示した。G7サミットでは台湾海峡問題やロシアのウクライナ侵攻に対する共同対応も議題として扱われる予定だが、韓国は中国、ロシアとの関係も考慮しなければならないという複雑な立場にある。李大統領は、韓日国交正常化60周年(6月22日)を前に、G7サミットで日本の石破茂首相とも初対面する。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対日外交を批判してきた李大統領が発するメッセージは、韓日関係の分岐点となり得る。

 李大統領の就任からわずか10日で、新政権の外交・安保チームも完全にそろわないまま突入する外交戦だ。内乱で揺らいだ韓国の国際的地位を回復するとともに、挑戦にさらされている国益を確保できるよう、徹底して備えてほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1201644.html韓国語原文入力:2025-06-08 18:00
訳D.K

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