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【社説】米中対立の中「実用外交」の第一歩、予測可能な外交を

登録:2025-06-11 07:52 修正:2025-06-11 09:57
李在明大統領が10日、ソウル龍山の大統領室で、中国の習近平国家主席と電話会談をおこなっている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 就任後、米日の首脳との電話会談を終えた李在明(イ・ジェミョン)大統領は10日、中国の習近平国家主席とも初のあいさつを交わした。同盟国である米国、価値観を共有する隣国である日本との意思疎通を終え、もう一つの「宿命的存在」である中国と向き合ったのだ。両首脳は「韓中両国の関係をさらに発展させていこう」ということで意見が一致したが、米国と中国という「二つの大国」を同時に満足させる均衡点が徐々に見出しにくしくなっているのは厳然たる現実だ。虚心坦懐で粘り強い意思疎通を通じて、米中いずれもが尊重せざるを得ない韓国独自の「戦略的空間」を広げていかなければならない。

 大統領室のカン・ユジョン報道官はこの日午後のブリーフィングで、習主席が「韓国の新政権と韓中の戦略的協力パートナーシップの発展のために協力する」との考えを述べ、李大統領はこれに対して「韓中両国は互恵平等の精神の下に経済、安保、文化、人的交流など多方面で活発な交流協力を推進する」と答えたと伝えた。さらに李大統領は、11月に慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に習主席を招待した。大きな異変がなければ、韓中首脳の初の対面による会談はその時期に韓国で行われることになるとみられる。

 この日の中国側の発表をみれば、習主席が韓国に要求してきた内容をきちんと把握することができる。中国外務省の報道資料には、習主席はこの日、李大統領に「多国間主義と自由貿易を共同で守り、グローバルおよび地域の産業・サプライチェーンを保障しなければならない」と強調したこと、「互いの核心利益と重大な関心事を尊重すること」を要求したことが記されている。米国はバイデン政権の時代から、中国を先端産業の「グローバルサプライチェーン」から排除するためにあらゆる手段を動員している。また、中国が「核心利益」と考えている台湾海峡で武力事態が起きないよう、韓日などの同盟国を糾合している。結局、習主席は、米国が熱心に推進中の対中包囲網から韓国が「果敢に抜けること」を要求してきたのだ。

 この困難な問題に対して、前任の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権はひたすら米国の側に立つ「対米全賭け外交」を推進してきた。しかし、中国は韓国にとって昨年の最大の輸出市場(1333億ドル輸出)であり、安保的にも朝鮮半島と密接な関係を結んでいる。韓国独自の揺るぎない「判断基準」を確立し、米中双方から見て予測可能で信頼できる外交を展開しなければならない。米中の確執の前面に立って中国と対立するのは、持続可能な道ではない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1202065.html韓国語原文入力:2025-06-10 18:16
訳D.K

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