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尹前大統領「党の勝利のため、最善尽くす」…露骨な選挙介入

登録:2025-04-11 06:40 修正:2025-04-11 09:29
党内の尹前大統領支持勢力でさえ「沈黙した方が党のためになる」と批判
尹錫悦前大統領が早ければ4月11日に漢南洞の官邸を離れ、瑞草洞の自宅に移るものとみられる中、10日のソウル龍山区漢南洞の官邸の様子/聯合ニュース

 罷免後もソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸に留まっている尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は、自身を訪ねてきた政治家などとの面会を通じて露骨な「メッセージ政治」を続けている。6月3日に大統領選挙を控え、本格的に始まる与党「国民の力」の候補選びに影響を及ぼし、支持層を結集させることで、内乱裁判を控えた自身の存在感を高めるためとみられる。自粛し沈黙する代わりに、自らプレーヤーとして政局に関わろうとする尹前大統領に対し、国民の力の中でも「ただでさえ厳しい大統領選挙をさらに困難にしている」との批判の声があがっている。

 10日、国民の力の大統領選予備選挙への出馬を宣言したイ・チョルウ慶尚北道都知事は、前日にソウル漢南洞の大統領官邸を訪れた事実を伝え、「(尹前大統領が)『大統領になったら、人選で最も重要視すべきなのは忠誠心であることを肝に銘じるべき』だとおっしゃった。周囲の人々の裏切りに深く傷ついたようだ」と語った。尹前大統領のこの発言は、同日大統領選出馬を宣言した国民の力のハン・ドンフン前代表を念頭に置いたものとみられる。支持者たちに「ハン・ドンフンが大統領選候補になることを絶対に容認してはならない」というメッセージを送ったということだ。尹前大統領が「今回の選挙で我が党が勝利し、自由民主主義を守れるよう最善を尽くす」と語った事実も、キム知事は公開した。

 尹前大統領が前日、ユン・サンヒョン議員と極右ユーチューバーのチョン・ハンギル氏に会った事実も、チョン氏のインターネットの広報ページを通じて公開された。チョン氏は自身が運営する「チョン・ハンギル・ニュース」というサイトに、尹前大統領と官邸の前庭で撮った写真と共に「(尹前大統領が)私は刑務所に行って死んでも構わないが、国民はどうすればいいのか、若者世代はどうすればいいのか(と懸念していた)」としたうえで、「あの方(尹前大統領)の懸念はいつも国民と国に関するものだった」と主張した。弾劾反対集会に出てきた支持層に向けた「伝言メッセージ」であるわけだ。

 このような尹前大統領の行動をめぐって、与党内部の尹錫悦支持勢力の中からも懸念の声があがっている。ある親尹(錫悦)派の議員はハンギョレに「罷免された大統領がメッセージを発することが、党に何の助けになるだろうか」とし、「今回の大統領選挙では沈黙を守るのが、尹前大統領も党も生き残れる道」だと語った。

 しかし、党内予備選挙を控えた大統領選候補たちは、このような懸念には耳を塞ぎ、尹前大統領の「伝言政治」の舞台作りに取り組んでいる。第1次予備選挙は100%国民世論調査方式だが、第2次と最終予備選挙は党員投票50%、国民世論調査50%を合算して行うため、少数であっても結集力の強い尹前大統領支持層の票を確保することが重要だと判断するためだ。

 11日に大統領選出馬を宣言するナ・ギョンウォン議員も「尹心(尹大統領の支持)」に後押しされて党内予備選挙に臨もうとする候補の一人だ。党内では、尹前大統領が罷免翌日の5日、ナ議員に大統領選出馬を勧めたといううわさが広がり、「尹前大統領のナ・ギョンウォン(候補)指名説」まで流れた。

 ハン・ドクス大統領権限代行首相が、尹前大統領の「46年来の友人」であり「内乱罪被疑者」であるイ・ワンギュ法制処長を憲法裁判官候補者に指名したことをめぐっても、「尹錫悦黒幕説」が広がっている。与党のある慶尚圏の再選議員は「ハン権限代行が数多くの人の中でなぜ内乱加担容疑で捜査を受ける人を憲法裁判官に示したのかは、尹前大統領を除いては説明できない」として、もどかしさを滲ませた。

 一方、尹前大統領側は11日午後5時に漢南洞官邸を離れ、瑞草洞(ソチョドン)の自宅に尹前大統領夫妻の住居を移す計画だと、同日午後発表した。

ソ・ヨンジ記者、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1191823.html韓国語原文入力:2025-04-10 21:02
訳H.J

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