サムスン物産と第一毛織の不当合併および違法継承の疑いなどで起訴されたサムスン電子のイ・ジェヨン会長が、控訴審でも無罪を言い渡された。裁判部は、サムスンバイオロジクスとサムスンバイオエピスの会計処理を偽りだと判断するのは困難だと判断した。
ソウル高裁刑事合議13部(ペク・カンジン裁判長)は3日、不正取引行為および相場操作(資本市場法違反)、業務上背任などの容疑で起訴されたイ会長をはじめとするサムスンの幹部および従業員14人に対する控訴審の判決公判で、一審と同様、イ会長に無罪を言い渡した。
イ会長らは2015年、サムスン物産と第一毛織の合併計画を推進。この過程で会計不正などをおこなった疑いで2020年9月に起訴された。検察は、イ会長らがグループ継承計画案「プロジェクトG」を樹立し、最小コストでイ会長のグループ系列会社への支配力を強化するために、2015年9月にサムスン物産と第一毛織を不当に合併したとして、イ会長らを起訴した。しかし一審は昨年2月、イ会長の19の容疑に対していずれも無罪を言い渡した。
一審では、ロジクスとエピスの会計不正容疑について、2019年5月に検察が押収した18テラバイト分のバックアップサーバなどの証拠能力がすべて認められなかった。検察がこの資料を提示して引き出した陳述も、いずれも証拠にはできないと判断された。
これらのサーバは、検察の捜査に備えて工場の床下や社員の自宅などに隠されていた。検察は、サーバなどを隠していた社員らを証拠隠匿の疑いで立件するとともに、令状の発行を受けてこれらのサーバを押収した。しかし裁判部は、証拠隠匿は他人の刑事事件に関する証拠を隠す行為であるため、押収したサーバから他人の刑事事件(サムスン違法継承容疑)に関する資料だけを選び出し、押収手続きを別途経なければならないと判断した。
二審でも、原審で証拠能力が除かれた押収物の証拠能力が認められなかった。二審判決は「弁護人の明示的な異議申し立てがなかったからといって手続きが適法なわけではなく、積極的同意があったということを検察は立証しなければならないが、立証されなかった」と判断した。