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イ・ジェヨン新会長の「新しいサムスン」…経営能力・支配構造の改編など課題山積み

登録:2022-10-28 06:03 修正:2022-10-28 17:54
入社31年目にして会長に 
非メモリー半導体の育成に力を入れたが 
これといった成果はまだ見られず
サムスン電子のイ・ジェヨン会長が27日午前、ソウル中央地裁で開かれた「会計不正・不当合併」1審続行公判に出席した後、会長就任の感想を尋ねる記者団の質問に答えている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が、父親の故イ・ゴンヒ氏の後を継いで会長の座に就いた。2014年に父親が持病で倒れた後、事実上経営権を行使してきたのに続き、会長の地位まで受け継いだ。

平坦でなかった「経営授業」

サムスン電子のイ・ジェヨン会長就任まで //ハンギョレ新聞社

イ・ジェヨン会長は、27日に開かれたサムスン電子の取締役会の議決により、1991年のサムスン電子入社以来31年目にして最高地位の会長に就任した。韓国の最大企業であるサムスン電子のトップにのぼり詰めたが、まだ経営能力が検証されていないと言われてきた。

 2000年、イ会長はサムスングループの支援を受け、いわゆる「eサムスン」事業を展開した。eサムスンとeサムスン・インターナショナル、セキュアドットコム、価値ネットなどの設立に参加し、株式を大量に保有した。しかし、ベンチャーブームが冷め業績が低迷すると、保有株をサムスン系列会社に売却した。経営失敗の損失をサムスン系列会社に転嫁したわけだ。

 イ会長は2014年から事実上、サムスングループの経営権を行使した。2018年「180兆投資、4万人採用」、2019年「システム半導体ビジョン2030」などを発表した。非メモリー半導体の場合、イメージセンサーでは第1四半期基準の市場占有率が29%で、ソニー(45%)との差を縮めたが、他の分野ではこれといった成果はまだ見られない。漢陽大学のイ・チャンミン教授(経営学)は、本紙との電話インタビューで「イ会長の経営能力は検証されておらず、市場では不安に思う側面がある」と話した。ソウル大学のイ・ギョンムク教授(経営学)は、「サムスン物産の合併以降、グループ事業のポートフォリオの調整を進めたが、最後までできなかった側面がある」とし、「経営能力をこれから示さなければならない」と指摘した。

 刑事処罰も受けている。いわゆる「国政壟断」事件に関与し、朴槿恵(パク・クネ)元大統領とチェ・スンシル氏に433億ウォン(約44億5千万円)の賄賂を渡した疑いで2017年2月に初めて拘束された。経営権継承に向けて「サムスン物産と第一毛織の合併」を進めるために賄賂を渡したという理由からだ。その後の裁判では執行猶予で釈放されたが、2021年1月に再拘束され、7カ月後の同年8月に仮釈放された。そして今年8月、特別赦免・復権を受け就職制限措置が解除された。だが、個人の利益のために会社資金を使った「財閥の政経癒着」のイメージはまだ消えていない。

 イ会長の財産の相当額は法の網をくぐり抜ける方法で蓄積された。父親から贈与された61億ウォン(約6億3千万円)を利用し、1996年にサムスンエバーランド(現サムスン物産)転換社債、1997年にサムスンSDSの新株引受権付社債を買収した。以後、サムスンSDSが上場され、サムスンエバーランドは第一毛織と合併した後、サムスン物産と再合併し、イ会長は数兆ウォンの差益を手に入れた。経済改革連帯によれば、2021年6月末基準でイ会長が保有したサムスン電子・物産・生命・SDS・エンジニアリング・火災など6つの系列会社の株式総額は15兆5613億ウォン(約1兆6千億円)。 このうち10兆5836億ウォン(68.01%)は、直接取得や相続ではなく、仕事の集中発注、会社の機会流用などの方法で増えた価値と推算された。

険しい「会長の道」

 イ会長は厳しい経営環境を乗り越え、長期ビジョンを提示しなければならない課題を抱えている。サムスン電子は今年第3四半期の営業利益が30%以上減少し、第4四半期の実績はさらに悪化するというのが大方の予想だ。サムスン電子は5月、今後5年間で450兆ウォン(国内360兆ウォン)を投資し、8万人を新規採用すると発表したが、対外環境が急変し、修正を迫られることになった。イ会長は社内掲示板に載せた文で「私たちの前に置かれた現実は厳しく、市場は冷酷だ。さらに果敢かつ挑戦的に乗り出さなければならない時」だと述べたが、イ・ゴンヒ会長の「新経営宣言」のようなビジョンは示していない。

 2020年5月「国民向け謝罪文」の発表で約束した「4世の経営放棄」なども完成させなければならない。このためには専門経営人と取締役会を中心に経営が行われるよう支配構造と経営体制を改編しなければならない。現在、サムスン順法監視委員会がボストン・コンサルティング・グループに依頼し、支配構造改編案を作っている。イ・チャンミン教授は「支配構造の改編には10年ほどかかるため、今から始めなければならない」とし、「これについていまだ言及がないのは問題だ」と指摘した。

 サムスン生命が保有するサムスン電子株をめぐる問題も解決しなければならない。「サムスン特恵」と言われてきたサムスン生命保有のサムスン電子株に対する評価基準が変更される可能性が高い。今は取得原価で計算してサムスン生命保有のサムスン電子株は問題にならないが、野党が主張する現在価値に変われば、サムスン生命はサムスン電子株の相当な部分を売却しなければならない。その場合、サムスン電子を支配するサムスン物産とサムスン生命のうち一軸が崩れることになる。イ会長が約束した「労働3権の保障」も、最近サムスン電子の子会社であるサムスン電子販売会社が労働組合員の個人情報(個人の性向や家族関係など)を把握した事実が明らかになるなど、依然として実現していない。

イ・ジョンフン、アン・テホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1064576.html韓国語原文入:2022-10-2720:38
訳H.J

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