世界最大の人権団体アムネスティ・インターナショナルは世界の人権状況を分析した年次報告書を発表し、その中で「韓国では表現の自由が侵害され続けている」と評した。
アムネスティ・インターナショナルは24日、全世界155カ国の人権状況を分析した年次報告書を発表し、「韓国の人権状況は全体的に懸念される」と評した。この報告書はアムネスティ・インターナショナルが世界、各地域、各国の人権状況を調査、分析し、毎年発行している総合報告書だ。
アムネスティ・インターナショナルは、韓国の主な危機分野として表現の自由、労働権、環境などをあげた。報告書は「政府が『違法』デモを取り締まる中、表現、結社、集会の自由の侵害が相次いだ」と述べつつ、ソウル交通公社が昨年1月に全国障害者差別撤廃連帯を相手取って地下鉄乗車デモにともなう損害の賠償を求めて起こした6億ウォン台の訴訟に言及している。
報告書はまた、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の反労組的な言辞と共に、労働運動家に対する弾圧がさらに強まった」と述べつつ、民主労総建設労組の幹部の故ヤン・フェドンさんの焼身事件に言及している。ヤンさんは、政府のいわゆる「建暴(建設現場での暴力行為)」捜査に抗議し、昨年5月1日のメーデーに江原道の春川(チュンチョン)地方裁判所前で焼身し、翌日に亡くなった。その後、警察はヤンさんの焼香所を強制撤去し、建設労組の事務所を家宅捜索した。
報告書は、韓国政府の気候危機対応について「かなり失望する水準」と評している。アムネスティ・インターナショナル韓国支部のキム・ジハク理事長は、「政府と国会は石炭火力発電所の廃止に向けた特別法の制定はしていないのに、産業分野の炭素排出削減量を軽減するという『カーボンニュートラル(炭素中立)緑色成長基本計画』を発表した」とし、「気候危機を越える『気候災害』に直面している今、政府は人権保護を最優先の価値として気候危機対応政策を展開すべきだ」と述べた。
アムネスティ・インターナショナルは、韓国だけでなく、全世界の人権状況は徐々に悪化しつつあると評している。アムネスティ・インターナショナルのアニエス・カラマール事務局長は、イスラエルとハマスの紛争、ロシアとウクライナの戦争などに言及しつつ、「国家および武装団体間の武力紛争が増加していることで、違法な攻撃や殺害が頻繁に行われている。普遍的人権が1948年の約束(世界人権宣言)以前へと急速に後退している」と述べた。そして「全世界に権威主義が拡散している。権威主義政策は表現や結社の自由を侵害し、性平等を攻撃し、性と再生産の権利を弱めている」と評した。