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米国の人権報告書「韓国の名誉毀損規制、表現の自由を脅かす」

登録:2024-04-24 08:59 修正:2024-04-24 09:49
「広範囲であり刑事処罰も可能…討論を制限する」 
「キム・マンベ氏インタビュー」引用した放送局への課徴金などを事例として挙げ
トニー・ブリンケン米国務長官が22日、「2023国家別人権報告書」に対するブリーフィングを行っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国務省が発行した「2023国別人権報告書」に、韓国政府が放送局に対し課徴金を課した件が言及された。これは、シン・ハンニム前「ニュース打破」専門委員が「大庄洞(テジャンドン)事件」のキム・マンベ氏にインタビューした内容を引用して報道した放送局に対し、韓国政府側が課徴金を課した件。

 国務省は22日(韓国時間)に発行した人権報告書の韓国編で「表現の自由」を扱った項目で、大統領選挙当時「尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補がスキャンダルに関与したという点を見せようとした」インタビューと関連しキム氏から金を受け取った疑いで昨年9月にシン前専門委員に対する捜査が始まり、放送通信審議委員会が放送局の調査に着手したと記述した。国務省はこの報告書で、インタビュー内容を引用して報道した放送局の取材経緯などを放送通信審議委が調査した後、4つの放送局に課徴金を課したとし、韓国記者協会がこれに対し「(政府に)批判的なメディアを抑圧しようとする組織的な試み」だとの声明を発表したと伝えた。

 放通審議委は昨年11月、「正確な事実報道で正しい世論を形成しなければならない放送」が、インタビュー内容の真偽確認を行わなかったなどの理由で、韓国放送(KBS)、文化放送(MBC)、YTN、JTBCに課徴金を課した。しかし、裁判所は最近、放送局が本案訴訟と共に提出した課徴金賦課処分の執行停止の申立てを受け入れた。

 米国務省は同報告書で、韓国の名誉毀損関連の法律の規制内容が広範囲であり、刑事処罰も可能であるため、表現の自由を制限していると指摘し、この事件を事例の一つに挙げた。国務省はこのような法が「公的討論を制限し、個人や言論の表現を脅かしている」と指摘した。

 また米国務省は、チ・マヌォン氏が光州(クァンジュ)民主化運動の時に撮影された市民軍の中に「北朝鮮特殊軍」が含まれていると主張したことなどについて、名誉毀損罪により最高裁で懲役2年が確定したという事実に言及した。さらに、尹大統領が新秘書室長に任命したチョン・ジンソク議員については、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の名誉を毀損した疑いが認定され、一審で懲役6カ月を言い渡された」と記述した。チョン議員は、「盧元大統領がわいろ容疑事件と関連して捜査を受けている間、夫人のクォン・ヤンスク女史と夫婦喧嘩をし、夫人が家出した後一人で残され、自ら命を絶った」との主張により死者名誉毀損などの疑いで起訴され、昨年実刑判決を受けたが、法廷拘束はされなかった。二つの事例も「表現の自由」項目で名誉毀損の法律関連の内容として扱われた。

 米国務省は、北朝鮮に関しては今年の報告書でも、即決処刑と拷問が続いており、新型コロナウイルス感染症による国境封鎖が緩和されてから脱北者の強制送還が再開されたという報道があるとし、劣悪な人権状況が改善されていないと指摘した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1137739.html韓国語原文入力:2024-04-23 19:38
訳C.M

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