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[独自]外国人を違法入学させ養殖場で強制労働…大学と人材業者が結託=韓国

登録:2024-02-13 01:13 修正:2024-02-13 06:44
世翰大学のイ・スンフン総長(左)が東ティモールのジョゼ・ラモス=ホルタ大統領と握手している=世翰大学ウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 地方のある私立大学が人材仲介業者と結託し、無資格の外国人を違法に入学させ、内国人の忌避する職場で働かせて授業料を払わせようとし、法的紛争に発展している。仲介業者の手引きでアワビ養殖場で働くことになった東ティモールからの20人あまりの留学生が、劣悪な環境に耐え切れず、在韓東ティモール大使館に訴え出た。この過程で、学費と仲介料の回収が難しくなった大学と仲介業者の間で責任の所在をめぐって紛争が起きたのだ。

 8日のハンギョレの取材を総合すると、全羅南道霊岩(ヨンアム)と忠清南道唐津(タンジン)にキャンパスがある4年制私立総合大学、世翰大学は昨年9月、東ティモールからの29人の留学生を霊岩キャンパスの自由専攻学科に入学させた。その時点では、360万ウォン(約40万3000円)あまりにのぼる授業料は受け取っていなかった。1カ月後、留学生たちは授業料や生活費をまかなうため、入学を斡旋した仲介業者に連れられ、近くの珍島郡(チンドグン)にあるアワビ養殖場に就職した。就労許可を得ていない違法就業だった。彼らを就職させた人材仲介業者は、世翰大学による東ティモール現地での留学生募集の過程にもかかわっていた。

世翰大学=世翰大学ウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 東ティモール人学生を入学させる過程で、世翰大学はビザ申請に必要な書類も虚偽発給していた。法務部の指針上は、韓国にやって来る留学生はまず学校から標準入学許可書を発行してもらい、それを根拠として現地の韓国大使館で入国査証(ビザ)を発給してもらう。入学許可書の発行を受けるためには授業料の完納が必要不可欠だが、世翰大学は人材仲介業者に授業料の一部を代納させただけで入学許可書を渡していた。違法入学、虚偽招請に当たる行為だ。

 韓国にやって来た東ティモールの学生たちは、学費と入国斡旋料をまかなうために働かなければならないということは知っていたものの、アワビ養殖場のように作業環境が劣悪で労働もきついところだとは想像もできなかったという。しかし、入国と入学の過程のいずれもが違法だったため、業者に提示された就業先を拒否することはできなかった。事実上、強制労働も同然だったわけだ。労働基準法は強制労働を防ぐために、前借金(使用者からの借金。賃金で返済する)を禁止している。

 事情を知った東ティモール大使館は昨年12月に現地調査を行い、東ティモールの学生たちはこの調査を前後して養殖場を辞めた。状況がこじれたことを受け、世翰大学は人材業者と対策を協議した。駐東ティモール大使を務めた同大学のK教授が人材仲介業者のA代表と交わした通話の記録を確認すると、K教授は「それ(強制労働疑惑の調査)に備えて(A代表が)学生たちと意見を交わしてみろ。『君たち(留学生)は学費と生活費を稼いで払わなければならないが、働かないなら家から金を持ってきて返さなければならない。家には返す能力もないのだから、(働かなければ)君たちは東ティモールに帰らなければならない』ということを正確に伝えるべきだ」と述べている。

 人材仲介業者は、学生たちが仕事を辞めたことで、自社が代納した授業料2900万ウォン(約324万円)が返ってくる見込みがなくなったため、世翰大学のイ・スンフン総長を横領などで警察に告発した。A代表は「世翰大の提案で、東ティモールで募集した学生たちの授業料をまず当社が納付し、その後、彼らが韓国で働いて稼いだら返してもらうことになっていた。しかし、留学生の合法的な労働可能時間が週当たりたった10時間であるため、授業料を返すためには違法な状態で働かなければならないということを知ったのは、学生たちが韓国に来てからだった。それで学生の管理は辞めたが、前納した授業料は結局返してもらえていない」と主張した。

 しかし、世翰大は責任を人材仲介業者に押し付けている。同大学の関係者は「『最初の学期の授業料は会社が払うから(就職など)留学生の管理業務は任せてくれ』と言ってきたのは業者の方」だとし、「私たちが授業料をまず代納してくれと要求したというのは明白な虚偽」と述べた。入学許可書を虚偽発行したことについては「韓国大使館がビザを発給してくれたのは最初に集まった82人の留学生のうち29人のものだけ。すると業者は授業料を全額前納するという約束を守らず、納付したのは一部の2900万ウォンだけだった」とし、「開講まであまりない時期だったためビザ審査を遅らせることができず、やむを得ず授業料の完納前に標準入学許可書を発行した」と述べた。

 韓信大学のウズベキスタン留学生強制出国に続き、世翰大学も人材仲介業者による授業料代納と違法就労斡旋疑惑が膨らんでいることから、大学管理を担うべき教育部と出入国管理に責任を負う法務部に対する批判の声もあがっている。教育部の関係者は「警察が捜査中の事件なので、正確な回答は難しい」と述べた。法務部は「標準入学許可書の虚偽発給の経緯と就業に関する違法行為の有無を調査中であり、結果に沿って必要な措置を取る予定」と述べた。

イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1127902.html韓国語原文入力:2024-02-09 03:00
訳D.K

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