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拘束令状棄却となった韓国野党代表、「人権の最後の砦、司法府に感謝」…今後の動きは

登録:2023-09-27 09:51 修正:2023-09-27 10:33
共に民主党のイ・ジェミョン代表が27日、京畿道儀旺市のソウル拘置所を出て発言している/聯合ニュース

 野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は、裁判所が27日に拘束令状を棄却したことで、政権交代後1年5カ月余り自身を束縛してきた「司法リスク」から一部ながら抜け出すことになった。検察が補完捜査に乗り出す可能性が残っており、「大庄洞(テジャンドン)開発」をめぐる疑惑を含め進行中の裁判と今後進められる裁判で有無罪を争わなければならないが、ひとまず一息つける状況となった。

 イ代表は、令状が棄却された同日午前3時50分頃、京畿道儀旺市(ウィワンシ)のソウル拘置所の正門の外に出て「『人権の最後の砦』という事実を明らかに証明してくれた司法府に深く感謝申し上げる」と述べた。

 さらに「遅い時間共にしてくださった多くの方々、そしてまだ眠れずにこの場面を見守っておられる国民の皆さんに、まず感謝申し上げる。政治は政治家がするように思われても、やはり国民がすることだ」とし、「政治とは常に国民の暮らしを考え国の未来を開拓していくことだという事実を、与野党、政府共に忘れず、これからは相手を殺してなくす戦争ではなく、国民と国家のために誰がより多くの役割を果たせるかを競う真の意味の政治に戻ってほしい」と述べた。

 さらに「明後日は楽しく迎えるべき秋夕(中秋節)だが、国民の暮らし、そして経済と生活の懸案は実に厳しい。政治が国民に希望を与える、この国の未来に役立つ存在になることを、政府与党にも政界の全員にもお願いしたい」と語り、「大韓民国の憲政秩序を固く守り、賢明な判断をした司法府にもう一度深く感謝する」と頭を下げた。

 民主党のクォン・チルスン首席報道担当は、令状棄却について「裁判所の拘束令状棄却は、野党弾圧と政敵の排除に血眼になった尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察独裁政権に警鐘を鳴らしたもの。尹錫悦政権と政治検察の非道な歪曲・ねつ造捜査は裁判所の壁を越えることができなかった」とし、「事は必ず正しい道理に帰する。イ代表に向けられた卑劣な検察権行使はもう止めなければならない」と述べた。

 イ代表は大統領選挙の敗北後、大庄洞開発をめぐる疑惑の捜査のために手足を縛られた状態だった。イ代表は、昨年6月1日の国会議員再・補欠選挙で仁川桂陽乙(インチョン・ケヤンウル)地区で当選し、その後8月の全党大会で党権を握った。だが、常に「自己防衛のため」というレッテルがつきまとっていた。

 そのような意味で今回の令状棄却は、これまで与党だけでなく民主党内の非イ・ジェミョン支持派からも絶えず攻撃を受け、崖っぷちまで追い込まれていたイ代表に起死回生のチャンスを与えた。

 8月31日から24日間の「ハンガーストライキ闘争」で支持層を集めたイ代表は、分裂した党を整え、強力な対与党闘争に乗り出すものとみられる。

 イ代表の前に置かれた第一の課題は、自身の逮捕同意案可決後の大荒れで対立の溝が深まった民主党内の主流派と非主流派を統合することだ。民主党は、21日の本会議で少なくとも29人の議員がイ代表の逮捕同意案に賛成したことで、該当議員の探し出しと懲戒をめぐり、鋭い対立が続いている状態だ。

 裁判所の拘束令状棄却で党内基盤を固めたイ代表が、「裏切り者排除」と「報復」の政治に乗り出す可能性は低いと思われる。イ代表は党権を握った後、何度も「党が分裂すれば総選挙で負ける。そのような結果は私も望まない」と強調してきた。民主党のある多選議員は、「いま党内のムードを落ち着かせることができるのはイ代表だけ。それが逮捕同意案可決で傷ついたリーダーシップを回復する道だ」と述べた。派閥色の薄い初選議員も「来年の総選挙は政権審判をメインに戦うだろう。司法リスクが解消されたこの局面で、イ代表が与党に対する闘争の集中度を分散させる選択はしないと思う」と語った。

 しかし一方では、イ代表は尹錫悦政権に向けた闘争の強度を上げる前に、「イ・ジェミョン一極体制」で党を再整備することに重きを置くだろうという見方もある。強硬な党員らの要求を理由に「逮捕同意案可決派」を探し出し、懲戒する可能性もあるとみられている。この場合、総選挙を控えて主流派と非主流派の対立が全面戦争に突き進みかねない。一部では対立が最悪に突き進んだ場合「分党」の可能性も排除できないという見通しも出ている。

オム・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1110257.html韓国語原文入力:2023-09-27 08:25
訳C.M

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