国会が野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表逮捕同意案を可決したことで、民主党が深刻な内紛に陥っている。院内指導部は表決結果の責任を取って辞任し、最高委員会は逮捕同意案に賛成票を投じた所属議員に対する懲戒を示唆した。一日も早く党を収拾しなければならないが、このようなやり方はむしろ溝を深める恐れがあるため、見つめる国民の懸念は大きい。
チョン・チョンレ最高委員は22日の最高委員会議で、逮捕同意案に賛成した議員に向けて、「反党行為」に対して「相応の措置を取る」と述べた。他のイ・ジェミョン派の最高委員たちも「裏切り、いんちき政治」、「裏切り者、独裁加担者」などと露骨な非難を浴びせた。イ代表の逮捕同意案の可決で党全体が大きな衝撃に包まれたことを考慮したとしても、このように逮捕同意案に賛成票を投じた議員に「裏切り者」の烙印を押して攻撃するのは適切ではない。党を収拾すべき最高委員たちがむしろ党を分裂へと追いやっている格好だ。特に指導部が「相応措置」を公言したことは、民主的な政党の姿勢ではない。無記名秘密投票の結果をめぐって公党が反対意見を探り出すというのは、可能でないし、してもならない。一部のイ・ジェミョン派議員が賛成票を投じた人々に対して「やましいところがないなら明らかにせよ」という風に迫っているが、これもやめるべきだ。
イ・ジェミョン代表はこの日、文書で立場を表明した。その中でイ代表は「検事独裁政権の民主主義、国民生活、平和の破壊を止められるよう、民主党に力を寄せてほしい」と述べた。大きな波紋を呼んだ不逮捕特権放棄の約束を反故にしたことに対する謝罪や説明がないのは残念だ。それでもイ代表には、党内外で分裂を懸念する見方が強いだけに、リーダーシップを発揮して激高した強硬支持層をなだめ、党の和合を促す責任がある。そのためにはまず、刃を向け合っている議員たちの怒りを鎮め、激高した党員たちも落ち着かせなければならない。そうしてこそイ代表の言うとおり「党のすべての力量を一つに集めることができる」。取り繕うというのではない。党は大きな方向性が同じなら、多少考え方の異なる人々も共存しえなければならない。そうしてこそより多くの国民の支持が得られる。だからこそ、まず党において民主主義がきちんと実現されなければならない。そして今、「イ・ジェミョン派」、「非イ・ジェミョン派」は追求する価値観が異なると言えるのか。
イ代表は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の暴政に抗して闘う政治集団は民主党」だと述べた。通常国会の期間であり、国政監査も控えており、国民生活の懸案は山積している。民主党は野党第一党として尹錫悦政権の暴走をけん制するという責務を負っている。党の内紛にすべての力を注いではならない。