<「時間がないからといって、興味までないわけではない」。生活に追われて忙しく、ニュースを見る時間もないあなたのために用意しました。ニュースが教えてくれないニュース、見れば見るほど気になるニュースを5つの質問に盛り込みました。「The 5」が尋ね、記者が答えます。>
韓国の野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表の逮捕同意要求書が21日、国会で可決されました。総投票数295票のうち賛成149票、反対136票、棄権6票、無効4票でした。イ代表は22日間にわたりハンガーストライキを続け、逮捕同意案の否決も要請しましたが、党の議員たちの心を動かすことはできませんでした。イ代表の長いハンストはなぜ失敗に終わったのでしょうか。政治家のハンストが成功するには、どんな条件が必要でしょうか。イム・ジェウ記者に聞きました。
[The 1]イ代表のハンストは失敗したとみるべきでしょうか。
イム・ジェウ記者:今回のハンストが成功したか失敗したかを一言では判断できません。ただし、ハンストが長引くにつれ、党内結集には成功したとみられていました。ところが(結果的に)票を計算してみると、民主党議員167人のうち30人前後が(逮捕同意案の)賛成に回ったことになります。棄権と無効まで含めると40人に達するものとみられます。
これを踏まえると、イ代表のハンストで手に入れた党内の結集さえ事実上瓦解したとみるべきだというのが大方の見解です。さらに当初「無能で暴力的な政権に向かって国民抗争を始める」を掲げてきたのに、否決を訴えたことで、逮捕同意案を阻止するためのハンストだったという非難を免れなくなりました。いろいろと良い評価を受けるのが難しい状況になったのです。
[The 2]イ代表が20日以上ハンストを続けたのに、なぜ効果がなかったのでしょうか。
イム・ジェウ記者:ハンストが長引くにつれ、イ代表の健康が悪化し、逮捕同意案を否決すべきというムードが広がったのは事実です。しかし、20日、予期せぬことが起こりました。イ代表が自ら逮捕同意案の否決を訴えるメッセージを出したのです。
この反作用で非イ・ジェミョン派(イ代表に対抗・反対する勢力)を中心に、むしろ可決票が結集したものとみられます。否決の訴えが非イ・ジェミョン派の議員の間で「防弾(何が何でも逮捕を阻止する)政党はだめだ」という共感をより広め、固める結果をもたらしたのです。パク・クァンオン院内代表が表決直前にイ代表に会い、党の統合的運営に対する約束を取り付ましたが、非イ・ジェミョン派にとっては十分ではなかったようです。
[The 3]最初から逮捕同意案の可決を防ぐための戦略的ハンストだったのでしょうか。
イム・ジェウ記者:「可決を防ぐためのハンストだったのでは」という批判の声は、イ代表が自ら国会に否決を要請した後から本格的にあがりました。最初からそのつもりだったとは言い切れないと思います。本人が尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の暴走を防ぐためのハンストであることを明言し、6月に不逮捕特権の放棄を宣言しましたから。ただし、否決の要請はそのような疑念を抱かせるには十分だったかもしれません。
[The 4]政治家たちは時にはハンストを行ったりもするのですが、成功するハンストの条件は何でしょうか。
イム・ジェウ記者:ハンストは不義に立ち向かう最後の抵抗手段です。健康を損なうものですから、より慎重を期すべきでしょう。さらに、政党の代表のような政治家のハンストは、より良い世の中に向けた大義名分、ビジョンのようなものがはっきり見えてくるべきだと思います。それがはっきりしていれば、すぐに結果が出なくても、そのハンストは認められるのではないでしょうか。ところが、その大義名分というのは、本人がそう主張したからといって認めてもらえるものではありません。周りの共感が必要です。時期や状況も適切でなければならず、簡単なことではありません。
[The 5]イ・ジェミョン代表と民主党は今後どうなるでしょうか。
イム・ジェウ記者:まず、イ代表の指導力は大きく傷ついており、民主党は混乱が避けられないものとみられます。早い収拾に向けた努力が行われると思いますが、容易ではないでしょう。党とは別に、これからは裁判所の時間です。拘束前被疑者尋問(令状実質審査)は通常、令状請求の時点から3~4日後に行われるため、秋夕(中秋節)前になる可能性が高いのですが、イ代表の健康を考慮し、秋夕以降に見送られることも考えられます。最悪の状況は、裁判所で拘束令状が発行されることです。イ代表の政治生命は危うくなり、憲政史上初めて最大野党代表が令状審査を経て拘束される不名誉も抱えることになるでしょう。結局「自分が拘束される可能性を恐れてハンストと逮捕同意案の否決を要請した」という党内外の激しい批判に直面する恐れがあります。党内外からの党代表辞任要求も強まるものとみられます。
他の可能性もあります。逮捕状が棄却されれば、イ代表は政治的リーダーシップの復元はもちろん、反撃のチャンスをつかめるでしょう。党内では自分を令状審査に追いやった非イ・ジェミョン派の議員に向かって、党外では検察に向かって、反転攻勢をかけられる環境が整うのです。もちろん令状が棄却されたとしても、イ代表がリーダーシップを一気に回復するには、今回の逮捕同意案可決で負った傷が非常に深いという意見もあります。