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日本との「軍事協力強化」なぜ必要? …理由も世論の説得もない韓国政府

登録:2023-08-22 00:27 修正:2023-08-22 08:31
尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が18日(現地時間)、メリーランド州にある米国大統領の別荘「キャンプデービッド」で、韓米日首脳会談の会場へと向かうために小道を歩いている/聯合ニュース

 「事実上の軍事同盟」化で3カ国の協力の強度を引き上げた韓米日首脳会談によって、韓日関係が重大な転換を迎えつつある中、韓国国内では憂慮と反発を示す世論が拡大している。今年70周年を迎えた韓米同盟とは異なり、同盟関係ではない韓国と日本が、事実上の同盟国として軍事協力を強化しなければならない理由を韓国政府がまったく説明していないからだ。

 18日(現地時間)の韓米日首脳会談後に発表された「キャンプデービッドの精神」(共同声明)、「キャンプデービッド原則」、「3カ国協議に対するコミットメント」は、域内の脅威に対する3カ国の共同対応が骨子だ。3カ国のうちの1国が攻撃を受けた場合、残りの2カ国は共同で対応・協議を行うという内容で、事実上の軍事同盟の道を開いた。大統領室は「(同盟関係は)同盟のパートナーに問題が発生すれば軍とすべての資産を動員し駆けつけて助けなければならないが、今回制度化される韓米日協力体には当てはまらない。『これは我が国にとって脅威ではない』と考えれば(共同対応に)当たらなくてもよい」と述べ、3カ国の軍事協力は「同盟」関係とは異なるとしている。だが、地政学的関係が密接な韓日の関係において、一方の国にとっての域内の政治・経済・サイバー・軍事的脅威はもう一方の国の危機や利益と直結せざるを得ないため、このような説明は説得力に欠ける。

 今回の韓米日協力体の制度化の過程は、3月に行われた日本企業の賠償義務なき強制動員被害者に対する「第三者弁済」賠償案の発表の過程とそっくりだ。3月は被害者が反発し、国内世論も「屈辱的」だとして懸念する声がほとんどだったが、尹大統領は決定を押し通した。その後、シャトル外交が復活するなど、韓日政府の関係は軌道に乗ったが、福島第一原発の汚染水の放出、独島領有権問題のように国民的懸念が大きく対立の根の深い事案は、日本の意図通りに進んでいる。

 尹大統領は18日の共同記者会見で、韓米日首脳会談開催の足がかりとなった第三者弁済案に韓国の世論が否定的であることについて米国の記者に問われ、「1965年度の韓日協定、その後の政府の措置、2012年に最高裁で下された判決との隔たりを調整しうる供託案を実行した」とし、「反対世論もあるが、韓国国民には何よりも、未来志向的な観点から韓日関係の改善と韓米日の協力が韓国の安保と経済発展にとって非常に重要だという認識のコンセンサスがある」と自評した。第三者弁済案の発表後も批判世論は相変わらずだが、国民を説得する努力もせず、「韓日関係は改善すべきだ」との考えを前面に押し出した恣意的な解釈を示したのだ。

 共に民主党のクォン・チルスン首席報道担当は19日に発表した論評で「日本を引き入れて『安保共同体』を作らなければならないほど朝鮮半島の危機が緊迫しているなら、事前に国民に詳しく説明し、同意を求めるのが順序」だとし、「日本との準軍事同盟が大韓民国の国益にどのように役立つのか明確に説明せよ」と述べた。これについて大統領室のチョ・テヨン国家安保室長は、聯合ニュースTVとのインタビューで「国民に対する説得と誠意ある努力は続けられるだろう」と語った。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1105031.html韓国語原文入力:2023-08-20 19:25
訳D.K

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