ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉部長官は、推奨する献立の変更を図る際、非常に簡単な方法を取った。従来の食品ピラミッドを「逆さまに」ひっくり返したのだ。数年間、健康な穀物、豆類、野菜を勧めてきた省庁が、いきなり肉や乳製品を勧めるようになったのだ。これは冗談のように見えた。ところが、冗談ではなかった。
ケネディ長官は、肉が一番上にあり、全粒穀物が一番下に位置したこの「逆さま」になったピラミッドとともに、「本物の食事をしよう」と呼びかけた。よりぴったりなセリフは「畜産・酪農牛農家を支援し、心臓麻痺になろう」だろうが。
トランプ政権の「逆さま」アプローチは、米国政策のすべての側面に適用される。米国は農業、建設業、サービス業分野の働き口を満たして経済を維持するために、書類に不備のある移民者が必要だ。ところがトランプ政権は彼らを追放している。米国は普遍的健康保険のない唯一の主要産業国だ。なのに、トランプ政権は、人々が医療保険にアクセスすることをさらに難しくしている。米国はクリーンエネルギーへの転換のために政府の支援が必要だった。だが、トランプ政権はクリーンエネルギー補助金を廃止し、化石燃料部門の拡大に投資した。
トランプ大統領の政策アプローチがどれほど「逆さま」になっているかは、外交分野で最もよくあらわれている。トランプ大統領は平和の重要性について何度も訴えてきた。ノーベル平和賞を受賞するためにロビー活動もした。今年の新年の願いは何かと尋ねられたときには、「地球の平和」などと答えた。ところが、トランプ大統領はクリスマス当日、ナイジェリアを爆撃し、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拉致するためにベネズエラに侵攻した。現在、イランを攻撃する準備をしている。グリーンランドを必ず占領しなければならないと主張し、必要ならば武力の使用も辞さないと公言した。キューバ政府も崩壊するだろうし、マルコ・ルビオ国務長官がいつかその国の指導者になると期待している。
トランプ政権は、米国の主権がどれほど重要かを強調してきた。米国の政策に他国や国際機関が干渉することを嫌う。一方、他国の主権については全く気にしない。主権侵害、国際機関からの脱退、国際法に対する軽蔑-これらすべては一種の戦争を構成する。トランプ政権は世界秩序の構造そのものに対して攻撃を開始したのだ。トランプ大統領は国連をなくし、脱植民地化の過程を巻き戻し、ただ力だけが世の中の流れを決めた時代に世界への回帰を望んでいる。トランプ大統領の極右色の強い補佐官、スティーブン・ミラー氏が眺める世界だ。
ミラー氏は最近CNNとのインタビューで「私たちが実際に生きていく世界、現実世界は力によって、武力によって、権力によって支配されています」と語った。「これが世の中が始まって以来存在してきた鉄則です」
もちろん、とんでもない話だ。権力には限界がある。独裁者も武力だけで社会を変えることはできない。彼らは平和なデモによって転覆される。彼らは法廷に立たされ、刑務所行きになる。歴史は武力だけで支配しようとした帝国の残骸でいっぱいだ。世の中が始まって以来、これこそが本当の鉄則だ。
トランプ政権が限界に気づくのは時間の問題だ。欧州連合(EU)はグリーンランドに対するいかなる試みも阻止するため、力を合わせている。米国の司法府もトランプ政権ができることとできないことについて限界を設定している。保守的な連邦最高裁判所でさえ最近、シカゴ市長と州知事の意思に反して、州兵を派遣することはできないという判決を下した。最近、ミネアポリスで移民・税関執行局(ICE)の要員が若い母親を射殺した事件に抗議し、全国各地で大衆デモが続いている。トランプ政権は、自分たちが反対にしようとした世界が一つになって自分たちに立ち向かっても、驚いてはならない。
逆さまになったピラミッドは不安定だ。
結局、崩れるだろう。