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韓米日、「クアッド」レベルの安保協力体稼動…台湾問題など紛争に巻き込まれる懸念

登録:2023-08-19 09:22 修正:2024-04-11 09:48
[韓米日首脳会談]

 18日(現地時間)、米国のキャンプデービッドで開かれた韓米日首脳会談で、3カ国首脳はアジア太平洋全域で影響力を行使し主導権を確保するという意思を明らかにした。韓国が中国のけん制や封鎖を目的とした米国の外交・安保戦略に従属するのではないかという懸念が持ちあがっている。台湾海峡問題や南シナ海領有権紛争など、韓国とは直接的関連のない紛争に巻き込まれるリスクが大きくなるという指摘が出ている。

 キム・テヒョ国家安保室第1次長は同日、3カ国首脳会談の結果について「(インド太平洋地域の)域内に共通の脅威、挑戦の要因や具体的な挑発が発生した場合、3カ国が利益に直結すると考えれば共に情報交換を行い、対応策を協議することで合意した」とし、「これは域内の協議強化についての政治的約束を公約とする文書になる」と説明した。強制義務(duty)条項はないが、事実上脅威に共同対応するという「トリガー(自動介入)条項」と解釈できる部分だ。大統領室の関係者は「一方的な現状変更の試みや、武力を伴うあらゆる種類の挑発行為、(これには)経済的な強圧行為も含まれる」と述べた。南シナ海で領有権摩擦のある中国を明らかに狙ったものだ。

 3カ国の首脳は会談で、インド太平洋対話と開発政策対話を発足させ、ASEAN10カ国と太平洋島しょ国に対する開発・支援政策を調整するとした。韓米日協力を北朝鮮・中国・ロシアの脅威に対する対応だけでなく、近隣地域の主導権確保にまで広げるということだ。

 特にキム次長は「韓米日3カ国協力は、域内で最も包括的で多層的な協力体に進化するものと期待される」とし「今後韓米日協力は、AUKUS(オーカス)やQUAD(クアッド)などと共に領域内外の平和と繁栄を増進させるための強力な協力体として機能することを期待する」と述べた。2017年に再発足したQUADは米国、日本、オーストラリア、インドが参加する安保協力体であり、2021年に発足したAUKUSは米国、英国、オーストラリアが参加する国防・外交政策交流協力体だ。いずれも中国をけん制または封鎖し、アジア太平洋地域の主導権を確保するとの目的を帯びた機構だ。

 大統領室は3カ国の協力範囲の拡大が国益に役立つと強調した。大統領室の高官は「3カ国協力体を運営して参加すれば、その恩恵は非常に大きくなって戻ってくる。ウィンウィン(win-win)効果を確信できるため作られたもの」と述べた。

 しかし、中国・ロシアとの関係がさらに悪化し、韓国が南シナ海とアジア太平洋地域で望まない紛争に巻き込まれることになるという懸念は少なくない。ウィ・ソンラク元駐ロシア大使は「韓国は中ロ、北朝鮮と地政学的に近く、朝鮮半島の平和安定といった外交議題がある。ところが日米との関係が一段階深まり、中ロとは不信が高まるだろう」と述べた。国防部の企画管理室長を務めた世宗研究所のキム・ジョンソプ副所長も「韓国は日本とは異なり北朝鮮という変数があるため、中国に対する国益の構造は日本とは違う」とし「対中関係が緊張・対立関係として固定化するだろう」と述べた。

 韓国の外交の幅が狭くなるという懸念もある。

 延世大学統一研究院のキム・ジョンデ客員教授は、「3カ国協力がもたらす利益も確かにある。しかし、そのコストが高いということを韓国は計算していて準備ができているのか疑問だ」とし「韓国は戦時作戦統制権もなく、休戦協定署名国でもないため当事者としての地位が弱いのに、韓国が3カ国協力で主導的地位を確保できるかどうかは分からない。周辺国との多国間外交の基盤も弱くなる恐れがある」と述べた。

 このような状況では、韓国独自の外交領域の確保が必要だという指摘がある。

 慶南大学極東問題研究所のイ・サンマン教授は「米国と中国が意思疎通を始めているのに、韓国が米国側の立場に一方的について行っている途中で状況が変わった場合、韓国に残る利益がなくなる可能性もある」と述べた。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1104899.html韓国語原文入力:2023-08-19 06:47
訳C.M