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韓国進歩政権の「住宅価格暴騰シーズン3」防ぐには【コラム】

不動産譲渡所得税の構造は深刻に歪曲されている。江南には100億ウォンを超える超高価アパートがざらにあるが、1住宅保有者は一定の保有・居住要件が整っていれば譲渡差益が最大80%控除(長期保有特別控除)される。いわゆる「賢い1軒」選好現象は、まさにこのような地代追求を可能とする制度が大きな原因となっている。超高価な住宅を1軒だけ所有している者まで一律に優遇する必要はない。 
 
パク・ヒョン|論説委員
21日、ソウル瑞草区のある不動産屋で、社員が李在明大統領の新年記者会見の中継を見守っている/聯合ニュース

 ソウルのマンション価格は昨年、またも高騰した。韓国不動産院の集計によると8.98%、KB国民銀行によると11.26%の上昇だ。調査機関によって数値は異なるが、目玉が飛び出るほどの高水準なのは同じだ。「進歩政権=住宅価格の暴騰」がまるで1つの公式のように繰り返されている格好だ。かつてなら政権が動揺するほどの記録だが、今回は大統領の支持率にあまり影響はないようだ。「こうなると思った」とあきらめている市民が多いのではないかとさえ思える。

 昨年のソウルの住宅価格の急騰は、供給不足が累積する中、政界の誤ったシグナルが火をつけた面が少なからずある。昨年2月、ソウル市のオ・セフン市長が突如ソウル江南(カンナム)の一部の土地取引許可区域を解除したことで、江南のマンション価格は急騰しはじめた。3月から上昇は周辺地域へと急速に広がった。さらに、6月に大統領選挙局面を迎えたため新政権発足への期待が重なり、6~7月に再び急騰した。「税金で住宅価格を抑えることはしない」という、大統領選に出馬した李在明(イ・ジェミョン)候補(当時)の発言も、市場心理に影響を及ぼした可能性がある。

 不動産市場との戦いは原点から改めて開始しなければならない。そのためには、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の失敗の原因を究明しなければならない。文在寅政権は、初期には貸付や税金などの需要抑制中心の対策に集中していたが、コロナ禍期の超低金利という特殊な金融環境まで重なったことで力不足があらわになった。政権後半期には公共住宅を中心とする大規模供給対策(2・4対策)を打ち出したが、それすらも韓国土地住宅公社(LH)の投機疑惑が持ち上がり、推進力を失った。序盤から需要抑制と供給拡大を並行するツートラック戦略を取っていたなら、結果は違っていたかもしれない。そのような意味で、李在明政権が需要抑制と供給拡大という大枠を定めたこと自体は妥当だ。ただし、ここで税制を除外する理由はない。

 過去の失敗のせいで税金カードを切るのが怖いというのは分かる。だからといって、やるべきことを先送りしてはならない。住宅価格を抑える手段として税制にアプローチすると必ず失敗するという教訓はその通りだ。李在明大統領も21日に「税金は国家財政を確保する手段だが、このような規制の手段へと転用するのは望ましくない」と述べているが、正しい指摘だ。しかし、租税正義の面も見過ごしてはならない。マンション売買で数十億ウォン台の不労所得を得ながら税負担が軽いと、社会的に違和感が高まらざるを得ない。専門の研究機関による国際比較を見ても、韓国の不動産保有税は低い方だ。筆者は昨年、ソウル江南の狎鴎亭洞(アプクジョンドン)のマンションと米国ニューヨークのマンハッタンの富裕層の居住地アッパーイーストサイドのコンドミニアムを比較してみたが、韓国は2分の1から3分の1ほどだった。とりわけ譲渡所得税の構造は深刻に歪曲されている。江南には100億ウォン(約10億円)を超える超高価アパートがざらにあるが、1住宅保有者は一定の保有・居住要件が整っていれば譲渡差益が最大80%控除(長期保有特別控除)される。いわゆる「賢い1軒」選好現象は、まさにこのような地代追求を可能とする制度が大きな原因となっている。超高価な住宅を1軒だけ所有している者まで一律に優遇する必要はない。にもかかわらず、このような制度がそのままなのは、既得権層の抵抗の他にも、江南にマンションを保有する高位官僚の利害が絡んでいるのではないかという疑念すら湧く。

 地方の有力者たちが建物と土地を売ってソウル江南のマンションを購入しているという話は、もはやニュースですらない。だからソウルのマンション価格ばかりが高騰し、地方の不動産は焦土化するのだ。地方から資金が流出しているのに、「地方主導成長」が果たして可能なのかは疑問だ。地方主導成長のためにも、不動産税制は見直さなければならない。大統領府のキム・ヨンボム政策室長は「同じ1軒でも所得税のように20億ウォン、30億ウォン、40億ウォンなどと区分を細かくして保有税を適用しようという提案があるが、真剣に考えるべき問題」だと述べている。住宅保有税や譲渡税も所得税のように課税区分を細分化したうえで、累進率も高めようというのだ。よいアイデアだ。

 ただし、抵抗をどのように管理するかがカギとなる。まずは引き上げを徐々に進め、納税者が十分に適応できるようにすべきだ。また、税を納めた人が体感しうる恩恵を提供すべきだ。現行の総合不動産税は主にソウル江南で徴収して地方に配分するというやり方だが、理想的には望ましい。いっぽう米国では、保有税は自身の住む地域の学校や公園などのサービスに直接使われる。一部でもこのように転換すれば、抵抗は弱まるだろう。さらに、将来政権が変わっても保有税と譲渡税には手をつけてはならない。増税しても売り物件がないのは、政権が変わればまた元に戻るという期待があるからだ。住宅価格の暴騰は一政権の失敗ではなく、韓国社会にまん延している投機心理と、数十年間にわたって繰り返されてきた政策の歪曲が招いたものだ。進歩政権の「住宅価格暴騰シーズン3」は是が非でもここで終わらせなければならない。

パク・ヒョン|論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1240938.html韓国語原文入力:2026-01-21 16:14
訳D.K