検察が22日、韓国野党第1党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表を在宅起訴し、大庄洞(テジャンドン)の都市開発不正疑惑事件の「本流」捜査はひとまず一段落した。大統領選前までイ代表を捜査できなかった検察は、大庄洞の民間事業者らが覆した供述などに弾みを得て、ついにイ代表を起訴した。検察の捜査記録は500冊以上、公訴状は169ページにのぼるという。
イ代表まで届かなかった第1次捜査チームの捜査
2021年9月29日、検察は本格的な大庄洞都市開発不正疑惑の捜査に乗り出した。10月3日、城南都市開発公社のユ・ドンギュ前企画本部長が拘束された。同月、検察は背任容疑を除いた収賄などの疑いのみでユ前本部長を起訴した。10月18日、(資産管理会社「火天大有」の子会社の)「天火同人」4号の実所有者であるナム・ウク弁護士が、米国から帰国し逮捕された。
捜査はスピーディーに進んだ。11月1日、検察はその前月に拘束に失敗した「火天大有」の大株主のキム・マンベ氏を背任容疑で拘束することに成功した。1回目の拘束令状棄却で、キム氏の犯罪疑惑の疎明が足りないという疑惑が持ち上がってもいる。ナム・ウク弁護士らも共に拘束された。
この過程で、大庄洞の開発事業者の選定に関与したユ・ドンギュ前本部長の側近のユ・ハンギ前開発事業本部長(12月10日)と、キム・ムンギ開発第1処長(12月21日)が、それぞれ遺体で発見された。イ代表の弁護士費用代納疑惑を提起したL氏(2022年1月)は病死し、イ代表が京畿道知事だった時代に初代秘書室長を務めたJ氏(2023年3月)は自ら命を絶った。
空回りする「50億クラブ」捜査
検察は火天大有から50億ウォン(約5億円)を受け取ったと疑われる「50億クラブ」の捜査に乗り出した。検察は、2021年11月17日に火天大有を退職した息子の退職金名目で50億ウォン(税抜き25億ウォン)を受け取ったとして、「国民の力」のクァク・サンド前議員の住居地を家宅捜索した。続いて、チョン・ヨンハク録音記録に名前が上がっていたパク・ヨンス元特別検事とホン・ソングン前マネートゥデイメディアグループ会長を取り調べた。「裁判取引疑惑」を受けているクォン・スンイル元最高裁判事も取り調べた。収賄などの疑いで拘束起訴されたクァク前議員は、2月に無罪判決を受けた。クァク前議員以外の「50億クラブ」の捜査は、1年半にわたり遅々として進んでいない状態だ。
2022年5月、政権が変わった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨年5月10日に就任し、1週間後にハン・ドンフン検事長は法務部長官になった。「尹錫悦師団」とされるソウル中央地検のソン・ギョンホ地検長、コ・ヒョンゴン第4次長検事をトップに、新しい「大庄洞捜査チーム」がつくられた。
彼らは本格的にイ代表を標的にした捜査を始めた。昨年10月、イ代表自ら「最側近」と明らかにしたキム・ヨン元民主研究院副院長が、政治資金法違反の疑いで逮捕された。その翌月、キム元副院長を拘束起訴した検察は、イ代表のもう一人の最側近であるチョン・ジンサン前党代表室政務調整室長を続けて拘束起訴した。
その間に釈放されたナム・ウク弁護士は、「天火同人1号の資金はイ・ジェミョン側の老後資金」だとし、供述を覆した。ユ前本部長やナム弁護士ら大庄洞の民間事業者たちから、イ代表に不利な発言が飛び出した。供述が覆され、イ代表が天火同人1号の株428億ウォン(約43億円)を受け取る約束をしたという「428億ウォン約定説」がふくらんだ。イ代表の側近を拘束起訴した検察は、今年に入って本格的にイ代表を狙いはじめ、2月16日にイ代表の拘束令状を請求した。2月27日、国会はイ代表の逮捕同意案を否決した。同意案否決から約1カ月後の今月22日、検察はイ代表を背任容疑で在宅起訴した。検察捜査から1年6カ月がたっていた。
チョン・グァンジュン記者