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武力が武力を呼ぶ「悪循環」…再び試される尹政権の安保能力

登録:2023-02-21 06:18 修正:2023-02-21 08:44
偶発的衝突を避ける危機管理能力求められる 
北朝鮮「情勢激化の狂信者たちに代償を払わせる」 
SLBM、正常角度でのICBM発射など挑発を予告 
韓国政府「韓米合同演習は予定通り」 
北朝鮮機関5カ所、個人4人を独自制裁対象に
北朝鮮が東海上に機種の確認されていない弾道ミサイルを発射した20日午前、ソウル駅の待合室で市民が関連ニュースを視聴している/聯合ニュース

 しばらく沈黙を守っていた北朝鮮が、3月の大規模な韓米合同軍事演習を控えて武力示威に乗り出し、また韓米がそれに対抗することで、朝鮮半島の緊張が高まっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の危機管理能力も再び試されることになった。

 北朝鮮が18日と20日にそれぞれ発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)と超大型放射砲(短距離弾道ミサイル・SRBM)は、それぞれ戦略核兵器と戦術核兵器に分類される。戦略核は米国を、戦術核は韓国を狙ったものだ。北朝鮮官営「朝鮮中央通信」は、ICBMは「敵対勢力に対する致命的な核反撃能力」を、SRBMは「敵の作戦飛行場の機能を焦土化できる」という点を誇示するのが目的だと明らかにした。

 これに先立ち、北朝鮮は17日の外務省報道官談話で、韓米合同軍事演習を非難し、「米国と南朝鮮が演習の構想をすでに発表した通り実行に移した場合、前例のない強力な対応に直面することになるだろう」と警告した。北朝鮮は談話発表の翌日、ICBM「火星15型」を発射することで、これを実行に移した。韓米は19日、戦略爆撃機(B1B)などを動員して合同空中訓練で対応しており、北朝鮮は20日、これを口実に再び「超大型放射砲(SRBM)」を発射した。

 キム・ヨジョン労働党中央委員会副部長は20日に発表した談話で、「情勢を激化させる狂信者たちにその代償を払わせる意志に変わりがないことを改めて確認する」と述べた。緊張の高まりの責任は韓米合同演習にあり、合同演習の状況によって正常角度でのICBM発射や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射など武力示威のレベルを引き上げる可能性を示唆したものとみられる。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は強対強の対決基調を再確認した。大統領室は同日、キム・ソンハン国家安保室長主宰で安全保障状況点検会議を開いた。大統領室の主要関係者は「大統領室全体が鋭意注視している状況だ。各省庁でそれぞれ状況に合った措置を取っている」と述べた。外交部は同日、北朝鮮の核・ミサイル開発と対北朝鮮制裁の回避に寄与したとして、ソンウォン船舶会社など機関5カ所と個人4人を独自制裁の対象に追加指定した。

 問題は、朝鮮半島が南北・朝米対話の不在の中、軍事的緊張が高まる典型的な「安全保障のジレンマ」の状況に陥っていることだ。北朝鮮の武力示威→韓米の軍事的対応→北朝鮮の対抗という悪循環が繰り返されている。「力による平和の実現」を強調する尹錫悦政権発足以後、著しい現象だ。

 韓国政府は予定されている韓米合同演習を計画通り実施する予定だ。18日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会は、「朝鮮半島の平和は強い力によって維持される」とし、「22日(現地時間)、米ワシントンの国防総省庁舎で行われる韓米拡大抑止手段運用演習(DSC TTX)と3月中旬の韓米合同演習および実機動演習(『フリーダムシールド(自由の盾)』訓練)などを通じて対応能力を強化する」と明らかにした。

 北韓大学院大学校のク・カブ教授は「朝鮮半島情勢が『負のスパイラル』に陥っており、少なくとも合同演習が終了する3月末までは緊張が高まるものとみられる」と予想した。 9・19軍事合意がすでに半分ほど無力化した状態で、偶発的な衝突の防止が重要だという指摘もある。キム・ヨンチョル元統一部長官(仁済大学教授)は「非武装地帯など陸上境界地域だけでなく西海(ソヘ)と東海(トンヘ)の境界地域でも偶発的な衝突を避けるための危機管理が求められる」と指摘した。

チョン・インファン、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1080502.html韓国語原文入力:2023-02-21 01:30
訳H.J

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