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「最後の被疑者」尹大統領夫人…検察が9カ月も動かない理由

登録:2022-09-06 04:45 修正:2022-09-06 09:32
ドイツモーターズ株価操作事件で
尹錫悦大統領の妻のキム・ゴンヒ女史が5月10日、国会で行われた第20代大統領就任式に入場する際に、手をあげてあいさつしている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 検察はなぜ9カ月以上もドイツモーターズ事件の「最後の被疑者」であるキム・ゴンヒ女史の株価操作疑惑に結論を出せずにいるのだろうか。検察の内外では「不起訴処分の時を逃した」、「単にお蔵入りにはできない何かがある」などの多くの意見が飛び交っている。

 この事件は、ソウル中央地検反腐敗捜査2部(キム・ヨンチョル部長)が捜査中だ。検察は昨年11月から12月初めにかけて、ドイツモーターズのクォン・オス前会長ら株価操作の主要加担者を全員起訴した。キム女史から10億ウォン(約1億200万円)入金されている口座を受け取って管理していたという株価操作の「専門家」L氏も拘束起訴している。当時、捜査チームはキム女史に対する捜査を継続すると述べていたが、その後の進展はない。

 検察はすでに嫌疑なしとの結論を下して発表時期をうかがっているだけだという意見もある。キム女史の口座が株価操作に使われていただけで、自ら株価操作を行っていたことを示す明確な証拠はないという論理だ。株価操作の資金を出す「スポンサー」は通常、嫌疑なしとされるケースが多いが、検察がキム女史を嫌疑なしとする時を逃したというのだ。かつて検事長を務めたある弁護士は5日、「嫌疑なしの処分を下すなら大統領就任前にやっておくべきだった。タイミングを逃し、その後、事件だけを握っておいて政権の顔色をうかがっているのではないか」と述べた。頻繁な「女史リスク」が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率を下げている中、嫌疑なしとすることの悪影響を懸念して検察が政治的に発表時期を遅らせているとも分析される。

 一方、明らかになった事実と情況からみて、捜査チーム内部で嫌疑なしとすることをめぐって意見対立があるのではないかという分析もある。告訴状によれば、クォン前会長らが空売りやインサイダー取り引き、高価・虚偽購入などの株価操作を行っていた期間のキム女史名義の取り引きは、株の数では9.1%(購入額では7.7%)に達する。キム女史名義の5つの口座から284回の相場操作があり、キム女史の母親であるC氏の証券口座も株価操作に用いられていたことが明らかになっている。このような中で尹大統領の就任式のVIP席に株価操作の中心人物であるクォン被告(前会長)の息子が招かれ、参加していたことも明らかになった。特別捜査の経験の多い元検察官のある弁護士は「単なる『スポンサー』であれば、すでに嫌疑なしで終結しているべき事案だ。何かが出てきたのでただ覆い隠すわけにはいかず、だから検察は事件を手元に置いておくだけにしているのではないかと思う」と述べた。

チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1057559.html韓国語原文入力:2022-09-05 16:33
訳D.K

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